0001朝一から閉店までφ ★
2022/09/22(木) 08:48:15.14ID:J7gP5lPL9未だに謎に包まれているマンボウの繁殖や産卵について、専門家に詳しく聞きました。
野口みな子
取材リクエスト内容
マンボウの出産数についてもっと深く知りたいです。
モグラ
記者がお答えします!
「マンボウは3億個の卵を産むが、成魚になれるのは2匹程度」――。マンボウの「弱さ」を強調する語り草となっていますが、この生態について専門家は「実態はわからない」と話します。実は、100年前の論文をきっかけに、伝言ゲームのように内容が脚色され、正しさを欠いたまま広がってしまった情報なのです。
「マンボウは弱い」などのさまざまな俗説を取材してきた筆者は、未だに謎に包まれているマンボウの繁殖や産卵について、専門家に詳しく聞きました。
なぜ「3億個の卵を産卵→生き残るのは2匹」が広がったのか
話を伺ったのは、『マンボウのひみつ』(岩波ジュニア新書)などの著書がある、海とくらしの史料館(鳥取県境港市)の特任マンボウ研究員・澤井悦郎さんです。マンボウの分類や生態の研究のほか、インターネットミームとして「マンボウは死にやすい」という誤った情報が広がる現象についても調査をおこなっています。
――「マンボウは3億個の卵を産むが、成魚になれるのは2匹程度」というのは本当なのでしょうか?
正しい情報と間違った情報が混ざっています。そもそも、マンボウがどれだけの卵を産むのか、またそこからどれくらいの数が成魚になるのかはまったくわかっていないんです。
――では、なぜこのような噂が生まれたのでしょうか?
発端は1921年、つまり100年以上前にイギリスの有名な科学雑誌『Nature』で発表された、Schmidt氏の論文です。この論文には、「マンボウの卵巣内に3億個以上の小さな未成熟の卵が含まれていることを発見した」という短い一文が記載されています。
――となると、「3億個の卵を産む」というのは本当だったということでしょうか。
そうではありません。現代の知見では一般的に、「未成熟の卵」は「これから産み出される卵」として数えません。メスの体内で成熟していく過程で、卵の細胞数が変わり、また細胞の成熟具合によって産み出される卵の数も変わるためです。ふつう、魚類の卵の数を推定するときは、成熟した卵のみ数えます。
そもそも、メスが体内で抱えている卵の数「抱卵数」と、体外に産み出される卵の数「産卵数」は定義が異なります。少しややこしいですが、一般的に使われている「魚類の卵数」は推定された「抱卵数(卵巣内の卵の数)」のことで、産卵数(体外に出された卵数)ではありません。
――「抱卵数」と「産卵数」は、どれくらい違うのでしょうか?
詳しい数の違いは私にはわかりません。しかし、マンボウはおなか(卵巣)の中の卵を一度に全部産むわけではないと考えています。
魚の種類によって産卵の形式は変わりますがが、魚類は一般的に、産卵期に成熟した卵を複数回に分けて産み、未成熟の卵は次の産卵期まで持ち越します。推定方法にもよりますが、1回の産卵数は抱卵数よりも実際は少なくなると考えられます。
しかし、もととなった100年前の論文があまりに有名なんです。これがさまざまな論文や魚図鑑に引用される過程で情報が簡略化されて、「卵巣内に3億個以上の小さな未成熟の卵が含まれている」が、いつの間にか「3億個の卵を産む」になってしまったようです。まさに100年にわたる伝言ゲームと連想ゲームです。
――では、「おとなになれるのは2匹だけ」というのも……。
https://withnews.jp/article/f0220922000qqf2220607001qqF0W06910201qq000025079A