今年は季節性インフルエンザが流行するかもしれない、というので子どもと一緒にワクチン接種を済ませました。それでも100%感染は防ぎ切れないのがインフル。何とかかからずに冬を乗り越えられればいいのですが……。【くらし医療部・横田愛】

 日本では当たり前でも、世界からみれば異例――。そんな一つに、季節性インフルエンザへの対処の仕方がある。この冬、来るかもしれない新型コロナウイルスとインフルの同時流行への国の対策を巡って、図らずもこのことがクローズアップされている。

 日本の「当たり前」はこうだ。新型コロナが現れる前、国内では毎年秋~冬に1000万人前後のインフル患者が発生していた。その患者1人1人が、発熱したら近所のクリニックを受診。その場で簡易検査を受け、インフルと診断されたら「タミフル」などの抗インフル薬を処方してもらう。厚生労働省によると、2018年秋~19年初めのシーズンに抗インフル薬の処方を受けた人は推定992万人。患者のほぼ全員と言っていい。

 だが、同時流行対策では、外来が逼迫(ひっぱく)するのを避けるため、重症化リスクが低い患者には、電話やオンラインでの診療を促すことになった。

 インフルの検査はどうするのか? 検査なしに抗インフル薬を処方していいのか? 議論が進む中、一部の専門家から提起されたのが「そもそも抗インフル薬はすべての人に必要なのか?」という声だった。

 12日に開かれた厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合後、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は記者会見で、抗インフル薬の処方について「二つの意見」が交錯したと明らかにした。

 一つは「これまで通り広く処方すべきだ」とする意見。軽症とみられても、途中で重症化する人もいるのが理由だとした。もう一つは「重症化リスクのある人などに限って抑制的に使うべきだ」との考え。後者を主張した専門家は「これだけ広く使われているのは日本しかない状況」だとして、薬剤耐性ウイルス(薬が効きにくいウイルス)を生まないための適正使用を訴えたという。

 脇田座長自身の見解は?と問うたところ「(国内の対応が)『使い過ぎ』に当たるかは判断できないが、適正に使用していくことは重要」との答えだった。

 「日本しかない状況」。そう、日本は世界一の抗インフル薬使用国と言われる。

 抗インフル薬の主な効果は、発熱などの症状が出る期間を1日程度短くする、というものだ。高齢者や幼児など重症化リスクのある患者への投与の推奨は、欧米も日本も変わらないが、それ以外の人への対応は異なる。

 日本ではすべての患者の「早期診断、早期治療」が徹底されてきたが、米疾病対策センター(CDC)は「健康な人のほとんどは、抗インフル薬で治療する必要はない」との立場。英国も、国営の医療サービスが、リスクの低い患者はまず家で休息し、市販の解熱鎮痛剤で症状が収まるのを待つよう勧めている。

 どちらが望ましいのか?

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毎日新聞 2022/10/23 06:00(最終更新 10/23 06:00) 有料記事 1976文字
https://mainichi.jp/articles/20221021/k00/00m/040/161000c
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