2022/11/03 06:00 (JST)

 12月20日までの予定で行われている観光支援事業の愛郷ぐんま全国割(全国旅行支援)で、群馬県内の宿泊施設が利用客に渡す紙のクーポン券について、施設側がスマートフォン(スマホ)などと券裏面のQRコードを使って事前準備する際、
誤操作で110番へ発信される事例が相次いでいたことが2日、県への取材で分かった。県は宿泊施設向けマニュアルに注意を促す文言を加え、慎重に操作するよう一斉メールで周知した。
 県観光魅力創出課によると、事業が始まった10月中旬、温泉地を中心に1日当たり十数件の誤った110番通報が発生したという。県警からの連絡で事態を把握した。今後、観光庁に報告する予定。

 原因は、QRコードに「110」から始まる数字列の情報が埋め込まれていることだった。数字列は券の一枚一枚に振られた管理番号になっている。
 施設側は本来、スマホで指定の専用アプリを起動した状態でQRコードを読み取る必要がある。スマホの一部機種で専用アプリ以外のカメラ機能を使った場合に、数字列の冒頭が緊急通報の番号と認識された。スマホ上に電話をかけるか問う文言が表れ、誤った選択操作をすると110番に発信された。
 券の番号が110から始まる仕様なのは、北海道から順に振られた群馬県の都道府県番号に沿って設定されたためとみられる。国の「Go To トラベル」でも誤った110番通報が起きていたが、県には詳しい事情が情報共有されていなかったといい、想定した対策を取っていなかった。

 全国割には県内の宿泊施設約800カ所が参加。利用客は旅行代金の割引を受けられる上、県内の加盟店約3700カ所で使えるクーポン券を受け取ることができる。
宿泊施設側がアプリでQRコードを読み取った上で宿泊日などを入力することで、客と券をひもづけ、不正利用を防ぐ仕組みという。
 同課は券を持つ利用客に対し「緊急事態に対処する110番に支障を来さないよう、決して試さないでほしい」と呼びかけている。
 一方、「119」で始まる番号を使う山梨県は「今のところ誤って119番につながったという報告は受けていない」とした。

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