【パリ=三井美奈】イタリアで先月発足したメローニ首相の右派政権が、約230人を乗せた移民救助船の受け入れを拒否した。船は3週間近く漂流し、フランス政府が10日、人道的見地から受け入れを発表した。イタリア政府を強く批判し、両国の外交問題に発展している。

移民救助船は、ドイツで発足した人道支援団体が地中海で運営している。今回乗っていたのは、リビア沖で10月に救助されたアフリカからの移民や難民。イタリアが受け入れを拒否した後、船内は病人が出るなど衛生環境が悪化していた。

国際法では、遭難者の救助が義務付けられているが、イタリア政府は「乗船しているのは遭難者ではなく、移民だ」として受け入れ拒否を正当化してきた。メローニ首相や右派与党は9月の総選挙で、移民流入の阻止を公約にした。

フランスのダルマナン内相は10日の記者会見で、「イタリア政府が、欧州の責任ある国家として行動しないのは遺憾」「理解しがたい」と不満を示し、救助船受け入れは例外措置によるものだと主張した。

これに対し、イタリアのサルビーニ副首相は「イタリアには今年、9万人も流入したのに、フランスはこのうち38人、欧州連合(EU)で117人しか受け入れていない」とツイッターで発信し、EUの移民政策を批判した。

EUは地中海岸のイタリアやギリシャの負担を軽減するため、有志国が移民や難民受け入れを分担する仕組み作りを目指すが、実現は難航している。

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