2022年11月10日 16時00分
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Cloudflareが展開しているパブリックDNSリゾルバ「1.1.1.1」に対して、3つの海賊版サイトへのアクセスをブロックするよう命じる判決をイタリアの裁判所が下しました。Cloudflareは不服を申し立て上訴していましたが、このたび訴えが却下され、判決が確定しました。

Cloudflareは政府や企業だけでなく、世界有数の海賊版サイトにもサービスを提供しています。Cloudflareとしては、あくまでコンテンツをキャッシュするだけ、あるいは転送するだけの中立的なサードパーティーサービスであるという立ち位置ですが、海賊版によって権利を侵害されている著作権者にとっては大きな不満のある主張であり、海賊版サイトに接続できないようにする措置を求める裁判がいくつも起こされています。

今回の裁判は、Cloudflareが運営するパブリックDNSリゾルバ「1.1.1.1」が海賊版へのアクセスを手助けしているとして、イタリア音楽産業協会(FIMI)と著作権侵害防止グループFPMが起こしたもの。

ミラノ裁判所は原告の主張を認め、Cloudflareに対して「kickasstorrents.to」「limetorrents.pro」「ilcorsaronero.pro」の3つのトレントサイトへのアクセスをブロックするよう要求する仮差し止め命令を発しました。なお、イタリアでは通信規制を管轄する通信保証機構(AGCOM)がISPに命令を下し、該当サイトへのアクセスがブロックされています。

Cloudflareは、当該ウェブサイトへのアクセスをブロックすることについては受け入れたものの、DNSリゾルバへの干渉は、イタリアだけではなく世界のユーザーすべてに影響を与えるものだとして反発。該当する内容はイタリアの裁判所の管轄にないとして、控訴裁判所に上訴していました。

控訴裁判所はこのたび、Cloudflareの上訴を却下し、ミラノ裁判所の下した差し止め命令の支持を表明しました。

FIMIのエンツォ・マッツァCEOは「これはイタリアだけではなく世界にとっても重要な決定です。Cloudflareをはじめ同種のサービスを提供する事業者は、ブロックが命じられた違法サイトへのユーザーのアクセスを防ぐための努力を強化する必要があります」とコメント。

国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)のフランセス・ムーアCEOも「ミラノ裁判所は、オンラインの仲介業者がサービスを音楽の著作権侵害に利用されたとき、有効な措置を執るように求められるという重要な判例を作りました」と判決を称賛しています。

なお、Cloudflareが「1.1.1.1」を通じた海賊版サイトへのブロックを命じられたのはこれが初めて。

ちなみに、ドイツではDNSプロバイダーのQuad9が裁判所から同様の差し止め命令を受けていますが、記事作成時点では裁判は控訴中となっています。

ソース https://gigazine.net/news/20221110-public-dns-1111-blocking-order/