2022/12/10 18:24

 政府が月内に閣議決定する「安保3文書」で掲げる反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に向け、変則軌道で迎撃が難しい極超音速誘導弾や能力向上型の高速滑空弾を運用する部隊として、陸上自衛隊に「長射程誘導弾部隊」を2個態勢で新設する方向で検討に入ったことが10日、分かった。来年度以降5年間の「防衛力整備計画」に盛り込む。

極超音速誘導弾は、マッハ5(音速の5倍)以上で飛翔することにより高いエネルギーが生まれる。マッハ1程度の巡航ミサイルでは敵国の滑走路を長期間、使用不可能にしたり、地下施設に損害を与えたりすることは難しいが極超音速誘導弾であれば、より高い破壊効果が期待できる。

 政府は防衛力整備計画の経費約43兆円のうち、長射程ミサイルの能力構築に約5兆円を振り向ける。このうち、極超音速誘導弾の開発に約2000億円を投資し、量産に向けて約4000億円を盛り込む。高速滑空弾能力向上型の開発には約3000億円、量産に約1000億円を確保する。部隊を新設したうえで、約10年後までに、これらのミサイルを運用する能力の獲得を目指す。

より早期の配備を見込む巡航ミサイルに関しては、射程を約1000キロに延伸する12式地対艦誘導弾能力向上型の地上発射型に約7000億円、艦艇発射型に約2000億円、航空機発射型に900億円を割く。米国の「トマホーク」を念頭に外国製ミサイルも導入する。


また、攻撃する標的を見つけ出す戦術無人機や目標観測弾の整備も目指す。多数の小型衛星を運用する「情報収集コンステレーション」には約3000億円を計上。コンステレーションで得られた画像情報、無人機による情報収集・分析機能や指揮統制機能を強化する。長射程ミサイルを保管するために必要な火薬庫の整備には約2000億円を盛り込む考えだ。

ソース https://www.sankei.com/article/20221210-LKGHQNGBVRJUBOHB7NHTICKDUI/