千葉県や市町村の相談窓口などで2021年度に受け付けた移住相談は5197件に上り、新型コロナウイルスの感染が広がる前の19年度の2681件から倍増した。総務省のまとめでわかった。テレワークが浸透して働き方を見直す人が増え、移住への関心が高まったとみられる。

 県内への移住相談件数はコロナ禍の20年度も4591件で、前年度に比べると約2千件増えた。21年度の5197件は、首都圏の神奈川県(4197件)や埼玉県(3035件)を上回った。全国でも32万件を超え、前年度より約3万3千件多く、調査を始めた15年度以降で最多になった。

 県地域づくり課によると、相談の大半は南房総地域への移住を検討している人だった。会社を退職して地元に戻り、老後を過ごす人だけでなく、現役世代もいる。千葉は電車で東京都心に2時間以内で通えるため、毎日出社する必要がなくなった人が検討しているケースが多いという。

 働く世代の視線を集めているのは、子育て支援が充実している流山市や柏市などの東葛地域だった。引っ越しても仕事を変えずに都内へ通勤、通学できるのが背景にある。成田空港へのアクセスが便利な印西市も人気が高いという。

 県は今年度予算に約1960万円を計上し、県内への移住を進める新事業を始めた。その一つとして4月、東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」に「ちば移住支援センター」を開設した。

 専任のコーディネーターを置いて相談窓口となり、移住を希望する人と各自治体をつないだり、下見の方法をアドバイスしたりする。県によると、センターを設置して以降、654件(11月末時点)の相談が寄せられた。

 コーディネーターの高羽(たかは)千佳さん(51)によると、相談者の年齢層は30-70代まで幅広い。県内の自治体間で移住を希望する人も多いという。「海やゴルフ場があり、畑作業ができて音楽フェスも開かれる。東京に通える距離で、仕事や趣味の選択肢が多いことが注目されているのではないか」と話す。(宮坂奈津)

朝日新聞 2022年12月31日 9時30分
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