新型コロナウイルス禍3年目で行動制限のない年末年始を迎えているが、夜の街は飲食業関係者が期待したようなにぎわいが戻らず、運転代行業界も厳しい状況が続いている。代行業はコロナ禍の影響を受け、人員を減らすなどして営業してきた事業者が多い。感染リスクを警戒し、退職したドライバーが復帰をためらう傾向もあり「書き入れ時」なのに明るい材料が見いだせないでいる。

 山形市でしあわせ運転代行などを運営する会社は一時100人近くいた従業員数が現在は約30人、稼働台数も半数ほどという。官公庁の仕事納めとなった28日の利用者数は、コロナ禍前の約半数。年明けの見通しについて「ここ1、2年や12月の傾向から需要が戻るという期待はできない」と展望する。

 2022年の警察白書によると、コロナ禍などが影響し、全国の自動車運転代行業者は2019~21年の間で、約400業者が事業をやめている。県内では過去10年で見ると、12年の231業者を頂点に、21年は190業者まで減った。経営を続けるため、自治体からの補助金で維持している業者も多いという。

 需要の回復が見通せない上、人手確保が難しいという課題もある。全国運転代行協会の金沢毅専務理事はコロナの影響で退職したドライバーが復帰に二の足を踏んでいるとし、「車内で客と接することでの感染リスクを不安視している可能性がある」と分析する。

 県警によると、飲酒運転で摘発された人のうち「代行車がいなかった」を理由に挙げた事例もある。金沢専務理事は飲酒運転撲滅に向け、代行業は重要な役割を果たしていると強調した上で「経営難で人手も不足している。現時点で打開策は見つからない」と語った。

山形新聞 2022/12/31 15:16
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