現在の第8波をどう見ればよいのか。この先、このウイルスとどう向き合っていくべきなのか。
尾身会長は90分にわたって語りました。(このインタビューは1月13日夕方に行いました)

Q.この3年間で初めて行動制限のない年末年始があり、感染は拡大しています。亡くなる人も過去最多の状況が続いていますが、現状をどう見ていますか。

A.感染者の数は、去年夏の第7波を超えていませんが、亡くなる人の数は第7波を超えてきています。

感染者の届け出の方法が変わったことが背景にあると見られます。
報告されている感染者数は、実際の感染者の一部にとどまっていて、ここに来て、こうした傾向がさらに強まっています。

亡くなる人たちでどういう人が多いのかというと、60代以上の高齢者で基礎疾患を持っている人たちだということがデータではっきりしています。
肺炎になったことがきっかけになり、嚥下(食べ物などを飲みくだすこと)機能が低下するなどして亡くなる人たちも多い状態です。
日本は世界に最たる高齢社会で、こうしたことも死者が増える要因になっています。

また、例えばイギリスでは献血のデータを見ると国民の8割くらいが、すでに感染しています。
日本では正確には分からないが、感染を経験したのはイギリスの3分の1くらいです。

自然感染した人が他の国に比べて少ないことで感染が広がっています。

オミクロン株になって感染力がかなり強まり、感染拡大のスピードが速まっています。高齢者が多くいる高齢者施設や医療機関での感染が増えている。
こうした要因が重なり、高齢で体の弱い方が亡くなっているというのが現状だと思います。

Q.高齢者への対策、どう考えればいいでしょうか?

A.感染のリスクは一定程度あるという状態が続き、エアロゾル感染など、どこで感染がおきてもおかしくない。

ワクチンは感染の可能性をゼロにすることはできないものの、重症化を予防する効果が高いということは分かっています。
まだ打っていない人がいると思いますが、ぜひ接種をしてもらいたい。

また施設の職員など、高齢者と接触するような人たちは、自分を守るという意味もこめて、ワクチン接種や検査などを活用してもらいたいと思います。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230113/k10013948811000.html