岸田文雄首相が米ワシントンを訪問し、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談しました。防衛力強化に大きく踏み出した日本の安全保障政策や岸田氏の今回の外遊は、米側にはどう映っているのか。日本外交や日米関係に詳しい米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員に聞きました。

日米首脳会談で共同声明 安保3文書改定「日米関係を現代化する」
 ――今回の岸田氏の外遊を米国側はどう見ていますか。

 印象的なのは、岸田さんが5月に日本で開催する主要7カ国首脳会議(G7サミット)に向けて、メンバー国を巡ったことです。

 「ウクライナ」に焦点を当てつつ、核兵器のリスク低減を議論したい自分の望みも軸に置いています。

 多くの人が、安倍晋三元首相ほどに日本を代表して国際舞台で活躍できる首相はもう出てこないだろうと思っていましたが、岸田さんは良い仕事をしています。国際舞台で日本の声を伝えることに注力し、欧米の指導者の間に多くの友人を持っています。

 11日にあった外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」がいわば実務の場で、首脳会談は新たな合意をするというより、両国の戦略的な連携を確かめ、インド太平洋地域の安定を高める方法やロシアのウクライナ侵攻への対応をともに考えていこうと確認する場です。日本の安保戦略の見直しについて、米政府関係者は日本の戦略的思考と外交の方向性に非常に満足しており、ホワイトハウスはお祝いムードだと思います。

夕食会なしは「スケジュールの問題」
 ――今回は日米首脳による共同記者会見も夕食会も、ありませんでした。

 今回は長い時間をかけて準備する国賓晩餐(ばんさん)会のようなものではなく、実務的な訪問でした。バイデン氏は、かなり前からこの時期にメキシコへ行く予定があったので、(日本側に)岸田さんの訪問がいつになるのか、思ったほど大きな行事にならないのではないか、という心配があったことは知っています。

 これはスケジュールの問題で…

https://www.asahi.com/articles/ASR1G560TR1GUHBI00G.html?ref=tw_asahi