ITmediabusiness 1/17(火) 9:35

ボンカレーはなぜ「世界一」をアピールするのか
 「ボンカレー」が「世界最長寿のレトルトカレーブランド」としてギネス世界記録に認定された。

 ……というニュースを聞いてモヤモヤしている人も多いのではないか。実は「レトルトカレー」というのは、世界的にそこまでメジャーな食べ物ではない。最近は海外でも「日式カレー」が注目を集めているので、中国、台湾、韓国、東南アジアなど一部の国でファンは増えているものの、欧米豪やアフリカなどでは知らない人のほうが圧倒的に多い。

 もっと言ってしまえば、「レトルト食品」自体がビミョーだ。中小企業基盤整備機構が運営する「J-NET21」内の「よくわかる レトルト食品の基本」の中にもこうある。

 『欧州では、以前から缶詰や冷凍食品などが多く消費されており、その食習慣が消費者の間に根強く浸透していることから、レトルト食品の消費はあまり伸びていないのが現状といえます』

 『米国でのレトルト食品の生産量は5万トン程度とみられています。これは缶詰生産量の1%程度にすぎず、市場規模はあまり大きくありません』

 例えば、「カップ麺」は世界中で売られており、日清の「カップヌードル」も世界100カ国で販売されている。そういうカテゴリーならば、「世界一の長寿ブランド」をうたうのは理解できる。が、レトルトカレーはそういう位置付けではない。

 大塚食品は2003年から中国でレトルトカレーを販売しているが、「ボンカレーの国際ブランド化に挑戦する」として2カ国目のインドへ進出したのも18年とつい最近だ。これで「世界」を語るには違和感しかない。

 「日本企業の素晴らしい偉業にケチをつけるのなら、この国からでていけ!」という感じで、激昂する人もいらっしゃるかもしれないが、ボンカレーや大塚食品を批判するようなつもりは毛頭ない。ただ、「なんでこのタイミングに、こんなことを言い出したのだろう」と疑問に感じるだけだ。

なぜわざわざギネス認定なのか
 ボンカレーは以前から、「1968年に誕生した世界初のレトルトカレー」というブランドヒストリーを打ち出している。日本で生まれたレトルトカレーというジャンルのパイオニアなわけだから「世界最長寿ブランド」であることは自明の理だ。そんな分かりきっていることを、いくら誕生55周年という節目の年だとしても、なぜわざわざギネス認定してもらう必要があったのか。

 いろいろな見方があるだろうが、個人的には「絶対王者ハウスを倒す決意のあらわれ」ではないかと考えている。

 実は、ボンカレーはパイオニアではあるが、ナンバーワンではない。競争の激しい国内レトルトカレー市場では、ハウス食品の「カリー屋カレー」が絶対王者として長く君臨しており、同ブランドサイトでも「愛され続けて19年 連続売上No.1のレトルトカレー」という宣伝文句を掲げている。

 この「カリー屋カレー」以外にもハウス食品は強者ぞろいだ。ボンカレーの宿敵ともいうべき「ククレカレー」、マッシュルームが入った「カレーマルシェ」、レストラン品質を追及し、最近テレビCMもよく見かける「プロクオリティ」、そしてあのCoCo壱番屋が監修した「もってこカレー」など、多彩なブランドがそろっている。

 つまり、ハウス食品は「日本で最もレトルトカレーを売っているメーカー」と言っても過言ではないのだ。このように絶対王者を擁(よう)する“レトルトカレーのスター軍団”に対して、パイオニアブランドのボンカレーは厳しい戦いを強いられてきた。

ボンカレーで戦っていく
 不動の人気を誇る「ボンカレーゴールド」を筆頭に、フライパン調理もできる「ボンカレークック」、キーマビーンズカレーの「ボンカレーベジ」、厳選素材と本格製法を用いた「Theボンカレー」など、17種類(ボンカレーブランドサイト)にも及ぶラインアップを充実させてはいるものの、ハウス食品の多種多様なブランド展開を前にすると、どうしても霞(かす)んで見えてしまうのだ。

※続きはリンク先で
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/6cecf11c47c993702d64a87a7c6a68efe2f53963&preview=auto