一旦決まった「至誠小学校」という名前が白紙に戻った鳥取県倉吉市の新しい小学校の名前について、17日の臨時市議会では原案の「打吹至誠小」を覆し、修正動議として提出された「成徳小」が急転直下、可決されました。

学校名を巡り紆余曲折があったのは、倉吉市の成徳小と灘手小を統合してできる新しい小学校。2022年9月の市議会で条例が可決され、一旦「至誠小」に決まりました。

150件が地元の地名にちなんだ「打吹」で、対して、選ばれた「至誠」の応募はわずか1件でした。

応募の数の多さで決めるわけではないというルールでしたが、150対1がひっくり返った結果を住民団体は疑問視し、4800に及ぶ署名を添えて条例廃止を直接請求し、広田市長は、統合準備委員会の手続の正当性を認めたうえで、苦渋の決断としてこの案に賛成。倉吉市議会も条例廃止を可決したため「至誠」は取りやめ、学校名は白紙に戻りました。

12月26日、仕切り直しとして開かれた統合準備委員会で提案された名前は「打吹至誠小学校」。両校区の委員が教育理念やなじみのある地名を理由にそれぞれ推して、折り合いがつかなかった「至誠」と「打吹」を、両方取り込む形で提案された名前でした。

一方、住民団体は、十分な議論がなされていない、「至誠」という言葉は戦争を想起させる、などとして「打吹小学校」とするよう市長に申し入れていました。

17日午後に開かれた市議会臨時議会では、広田市長が新しい学校名を「打吹至誠小学校」とする条例案を提案。
その後、議員2人が、事前の応募が最も多かった案とするのが市民の理解を得る道だとして「打吹小」とする修正動議を、さらに別の議員7人が、「打吹至誠」に納得できない市民が多く、新たな紛争になりかねないなどとして、現状の「成徳小」とする修正動議を提出しました。

そして採決の結果、「成徳小」とする条例案が賛成多数で可決されました。
成徳小と灘手小が統合してできる新しい小学校は、「至誠」でも「打吹至誠」でもなく、急転直下、1校の現校名のまま「成徳」で決まりました。

統合準備委員会では、あくまで新しい名前を選ぶとして、現在の学校名である成徳と灘手は当初から議論から外されていました。なお統合した新しい小学校は、現在の成徳小の校舎を使うこととなり、これも修正動議のひとつの要因となりました。

山陰放送2023年1月17日(火) 15:18
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