1月14日、15日に実施された大学入学共通テストは、約51万2500人が受験した。入試シーズンの本格的なスタートと報じられているが、実際は前年秋に選考が行われ、年内入試と言われる総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜で、すでに受験生の半数はほぼ入学先が決まっている。入試はシーズン幕開けどころか、すでに中盤戦なのだ。

2019年度には、一般選抜49%に対し、学校推薦型選抜38%、総合型選抜13%と年内入試が逆転していた。10年も前なら一般推薦入学は中堅私大に多く、国立大などは少なかった。

ところが、今や国立大学協会は学校推薦型選抜や総合型選抜などの募集定員を全体の3割まで増やすことを目標としている。学力のみを評価する筆記試験重視に偏らせず、高校での活動歴も含めて、総合的、多面的に合否を決めるためだ。

東京大学の推薦入試(現在の学校推薦型選抜)は16年度に採用され、募集人員も当初より増えている。最近ではこの推薦入試で複数の合格者を出している高校がニュースになっている。22年は渋谷教育学園渋谷中高(3人)、長崎県立佐世保北高・中(2人)などだ。

中高一貫校は6年間なので、論文執筆演習や語学研修、理数系の実験・演習などにじっくり取り組めるので、推薦や総合型の選抜には有利だ。従来から筑波大学は国立大の中では推薦入試の枠が比較的大きいことで知られていて、その募集人員は23年度で全入学定員の26%を占める。これからも増えそうだ。

AO入試(総合型選抜)は、東北大学が有名で、22年入試の募集人員は一般選抜が1693人に対し、AO入試は657人と多い。同大では、今なお「AO」というネーミングを使っている。

私立大学の一般選抜入学者は、年々その比率は下がり、40%ラインに近づいている。早稲田大学など、学校推薦型選抜の入学者を増やす方向を打ち出している。これは入学後の成績追跡調査などでも、むしろ一般選抜の入学者より優秀という裏付けがあるからだ。

また付属校だけでなく、系列校や連携校を有名私大が増やしていることと関係があるのだろう。比較的、一般選抜の高かった明治大学も連携高校が増えているので、今後推薦型選抜入学者の割合が増えそうだ。

関関同立では、関西学院大学が従来から学校型推薦入学者の割合が多い。他の有名私立大学も系列校が増えているので、学校推薦選抜入学者が増加していくことは確実だ。今や高3秋が大学入試の第1のピークになっている。

日刊ゲンダイ2023/01/20 06:00
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