首都圏と中京圏をつなぐ新東名高速道の全線開通が2027年度に決まった。トンネル工事が難航するなど2度にわたる延期の末、並行する東名高速道とのダブルネットワークがようやく実現するめどが立った。静岡県内の自治体や物流業界からはアクセス向上による経済効果に期待が高まる一方、「開通時期の遅れは痛手」と困惑の声も上がる。

 新東名は現在、全体の9割が開通している。残る区間は新秦野インターチェンジ(IC、神奈川県)―新御殿場IC(御殿場市)間の約25キロ。山間地を貫く高松トンネルで脆弱(ぜいじゃく)な地盤が出現し、掘削工事が難航している。中日本高速道路は当初、20年度の開通を目指したが、23年度に延期。その後、開通予定を白紙にし、22年12月に「27年度に見直す」と発表した。

 「開通時期がはっきりと示され、企業にアピールしやすくなった」。御殿場市商工振興課の担当者は大動脈の完成を待ち望む。市内には民間企業が開発する工業団地もあり、首都圏に近い立地の優位性がさらに高まると指摘。アクセスが向上する北関東方面の企業を中心に誘致活動を強化する方針だ。

 物流業界の期待も大きい。県トラック協会は「運転手の労働時間改善が求められる中、定時性が高まり、決まった時間に荷物を届けやすくなる」と利点を強調する。

 一方、開通がずれ込んだことに困惑の声も上がる。小山町フロンティア推進課の担当者は「4年の遅れは痛手。企業進出の熱が冷めてしまわないか心配だ」と漏らす。中日本が22年12月に沿線自治体を交えて開いた会議でも、「開通が27年度になるのは残念」「一日も早い開通に向けて事業推進を図ることを強く要請する」などの意見が出たという。

1/22(日) 8:39
あなたの静岡新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/83476076c22419c48392998d82d927f9b748d7a3