Women's Health2023/01/24
https://www.womenshealthmag.com/jp/wellness/a42515423/friendship-recession-20230124/

既往研究レビューによると、「社会的な強いつながり」は、「健康的な体重であること」よりも重要であり、寿命に関していえば、禁煙によって延命するほどに匹敵するという。一見すると、この現実は単純な結果をもたらすもの。コミュニティを見つけようとする本能によって動けば、自分に相応しいコミュニティの一員へと導かれるかもしれない。今回は、イギリス版ウィメンズヘルスから「フレンドシップ・リセッション」について見ていこう。

■「フレンドシップ・リセッション」ってなに?
無情にも分断された文化の中で、この根本的なニーズを完全に満たすことは、なかなか容易なことではない。その現象の1つとして、「フレンドシップ・リセッション」と呼ばれるものがある。これは、昨年アメリカの研究者たちによって生み出された造語であり、親しい友人がいないと報告する人々が徐々に増加傾向にある現象を示している。最近では、この変化について調査する専門家も増えている。

近日発売予定の書籍『Unprocessed』の著者であり、公認心理学者のキンバリー・ウィルソン博士は、自身のインスタグラムで次のように語った。「親しい友人がいないという大人は増えていますが、これは2003年頃から始まったことです」

ウィルソン博士が引用した新たな調査では、アメリカ人男性の15%、アメリカ人女性の10%が「友達がいない」と告白し、初めて「フレンドシップ・リセッション」という造語が使われた。1990年に実施された同様の調査で「友達がいない」と報告した人の割合は、アメリカ人男性の3%、アメリカ人女性の2%であったことから、この急増はかなり禍々しい。

これって、若者たちが人生を切り開くために向かう魅力的な都市が豊かなアメリカだから? そう考えるかもしれないけれど、この現象はアメリカに限ったことではない。イギリスのデータでも同様の結果が現れている。

2021年に実施された調査によると、18歳から34歳のイギリス人の20%が「親しい友人は一人だけ」あるいは「一人もいない」と答えている。この比率は、2012年に実施された調査で同じ回答をした人の割合の3倍であり、ここ10年間でかなり急増している。一方で、ママ友作りの出会い系アプリ 「ピーナッツ」 の最新データによると、調査対象となった女性の76%が、「この1年間で親しい友人の数が減った」と報告している。

ウィルソン博士は、ここ数十年で人々の友情が薄れている原因を、自身のインスタグラムで紹介した。

仕事を求めて街や国に引っ越す人が増え、長年の友人関係を気軽に手に入れることができなくなっていたり、都市のあやふやな賃貸市場によって頻繁に引っ越すことを余儀なくされ、地元の人々との深いつながりを築くことが妨げられている。さらには、生活費が高騰し、長時間労働や副業をしなければならないことが多くなり、友人関係を育む時間がほとんど残されていない。このような理由が挙げられた。

■友情が必要な理由とは?
私たちの健康において、信頼できる友人がいるという信念を持つことが、どうしてそんなに重要なの? 「人間には、共同体感覚と社会的支援が必要だからです」と話すのは、健康心理学者のスーラ・ウィンドガッセン博士(@the_health_psychologist_)。

「常に大勢の人に囲まれていなければならないということではありません」。実際に、深い友人関係を維持できる人数には限りがあるという。進化心理学者ロビン・ダンバー博士の研究によると、なんでも悩みを打ち明けられる友人は5人が限界であることがわかった。2020年のある研究では、親しい友人が3人もいれば、充足感を十分に感じられることが示されている。

「ですが、心から頼れる人がいるという感覚は、精神的、身体的な健康において大変重要です。例えば、社会的支援は私たちが受けるストレスの影響を大きく緩和します。ストレスが緩和されなければ、免疫系に影響を与えることになります」と、ウィンドガッセン博士。

この論点を説明するために、ウィンドガッセン博士はある研究を引用した。その研究では、ストレスを受けている被験者たちは、ストレスを受けていない被験者たちよりも、小さな傷が治るまでに9日長くかかることがわかっている。

秘密を共有したり、アドバイスを求めたり、金曜日の夜を気兼ねなく過ごすのなら、恋人や家族のほうがいいと感じる人もいる。だけど、すべての人に恋人や家族がいるわけではない。恋人や家族とは違って、友人だけに見せられる自分の姿があることだってある。

※全文は出典先で