島津製作所(京都市)子会社の島津メディカルシステムズ(大阪市)が熊本県内の医療機関に納入したエックス線装置を巡り、故障を偽装して部品を交換していた問題で、両社が2月以降、鹿児島、宮崎、長崎各県に調査状況を説明していた。鹿児島県には、同県内に不正疑いのケースがあると伝えたという。各県への取材で分かった。
 島津製作所は近く、弁護士らでつくる外部調査委員会の報告書を公表するとみられる。
 鹿児島県によると、島津側の関係者が7日、「断定はできないが、疑わしいケースがあった」と伝えた。宮崎県には3日に来たが「詳細の説明はなかった」という。長崎県には2日に説明があり、同県担当者は取材に「調査中ということなので(内容を)言うことはできない。(島津側から)発表があれば県としても公表できる」と述べた。
 熊本県も、不正が明らかになっている5件のほかに疑い例があると説明を受けたという。九州では福岡、佐賀、大分県には10日午前までに、調査状況の報告はなかった。
 この問題では、熊本営業所の社員が公立病院で装置の定期点検をした2017年、「エックス線管球」と呼ばれる主要部品にタイマーを設置。1カ月余りでエックス線が出なくなり、部品交換費としてメディカル社が約228万円を受け取っていたことを、本紙が昨年8月に報じた。
 島津製作所は同9月、熊本県内の医療機関で同じような不正が計5件あったと発表。不正に関わった人数や医療機関名は明かしていない。同社は外部調査委を設置してメディカル社の社員から聞き取りなどを行い、広がりや背景、経緯などを調べている。
 不正が明らかになった装置は、体内を動画で透視でき、胃や腸のバリウム検査や内視鏡手術などに使われている。島津製作所は不正があった5件で「健康被害などの報告は受けていない」と説明している。

東京新聞 2023年2月10日 13時31分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/230442