2月9日と10日、関西の企業の社長たちが一堂に会して“大反省会”を行いました。トップから一体どのような言葉が飛び出したのでしょうか。

 3年ぶりの対面開催となった関西財界セミナー。関西を代表する企業のリーダーたちが集まって、日本そして関西の針路はどうあるべきか大真面目に話し合われる中、取材班は“あるテーマ”の会議に注目しました。

 (記者リポート)
 「失われた30年とも言われる日本経済を検証すべく、刺激的なタイトルで議論が行われています」

 論点は『我々(日本全体、日本企業)の30年間をどう評価するか?我々は間違ってきたのか?』

 バブル崩壊後、令和になっても日本経済は低空飛行を続けていますが、まずは現実を直視しようという、さしずめ経営者たちの“大反省会”です。

 (京阪神ビルディング 若林常夫社長)
 「バブル崩壊の後処理に時間を費やした結果、新規事業に対する人材と戦略に対する投資が後回しになってきて、結果的に既存企業の魅力がなくなってしまった」

 (三菱UFJ銀行 沖原隆宗特別顧問)
 「企業もやっぱり“にわか勉強”で、ガバナンスの体制、株主偏重、結局95年以降は配当金は増やしたけども設備投資は増やさない。私ども経営者も非常に不甲斐なかった」

 自らの会社と社会に対する反省点が次々と飛び出します。

 (ダイキン工業 二宮清社友)
 「日本人は結局、価値の向上はものすごく得意。それで高度成長期を過ごしてきたと思うんですよね。価値の向上と価値の創造はちょっと違う」

 (NTT都市開発 松本順一取締役)
 「世界でも有数の光ファイバーネットワークを張り巡らせて、GAFAと言われるような会社が生まれる素地はあったはずなのに、なかなかそれが日本では生まれなかった。インフラはあるのになぜ生まれなかったのか」

 (大林組 秀高誠専務)
 「競争力の乏しい企業を補助金で助けるレスキューマネーという形での取り組みが多かったんですけども、できるだけ早くスタートアップ創出のための補助金、リスクマネーへのシフトをしていかないといけない」

 世界にインパクトを与えるクリエイティブな商品やサービスを生み出せず給料も上げられずにきた日本の会社。

 多様化する働き方と賃上げとのジレンマにどう対処するのか。関西エアポートのトップに話を聞きました。

 (関西エアポート 山谷佳之社長)
 「2年後に大阪・関西万博があるじゃないですか。限られた時間内でどれだけ仕事を効率よくできるか、それぞれがギアチェンジして走り出さないとうまくいかないと思うんですね。より一層、従業員の皆さんに頑張って仕事していただかないといけないという局面なので、できる範囲の中で従業員の皆さんに賃上げというか給与改定をしていきたいと思っています」

 一方で、リーガロイヤルホテルなどを運営するロイヤルホテルのトップはどう考えているのでしょうか?

 (ロイヤルホテル 蔭山秀一社長)
 「ホテル業界は全体的にコロナで大きく打撃を受けた業界ですので、他の業界と同じような調子で(賃上げを)断言することはちょっと難しいと思います。ですからいろいろと工夫はしようとは思っています。一方でこのホテル業界は人材難。若手の人たちの離職が目立ちますので、賃上げというのは1つの手段ではあるんですが、それだけでは不十分でして、モチベーションをアップする施策も合わせて行わないとこの業界の対応にはなりづらいのかなと」

 日本全体を見据えた大局的な意見も。

 (岩谷産業 牧野明次会長兼CEO)
 「(賃上げは)前向きに検討しております。基本的には我々としても賃上げをすることによって社員の生活を向上させてあげたいし、(賃上げと)同時に、使ってお金を回すと。預金に回ったら景気も全然良くなりませんから、使え使えと言うのは悪いけども、消費にしっかりと回してもらうと」

https://news.yahoo.co.jp/articles/19f52a2fbb5a88cbcae9cd64bd798f145b8bd7ba