沖縄返還の際の日米密約を追及した元毎日新聞記者、西山太吉さんが24日、91歳で心不全で亡くなった。昨年、沖縄返還50年のインタビューで、民主主義のために「国家のうそ」にぎりぎりまで迫る意義を、「新聞記者たるもの」と語気を強めて語っていた。

 西山さんは、密約に関わる極秘文書の入手を外務省の女性事務官に頼んだことが秘密漏洩(ろうえい)のそそのかしにあたるとして国家公務員法違反容疑で1972年に逮捕、起訴され、毎日新聞を退社。最高裁まで争ったが、78年に有罪が確定した。密約を政府は否定し続けたが、2000年以降に米側の公文書や元外務省幹部の証言で確認された。

 故郷の北九州市で暮らす西山さんを訪ねたのは昨年9月。大きな体で歩行器を押しながらインタビューの部屋に入り、ソファにどっかと腰を下ろした。「体調は異常なく食欲は旺盛。筋肉が縮小してどうしようもないので、医者から言われてどんどん歩いてます」と近況を話した。

 西山さんが迫った密約とは…(以下有料版で,残り1213文字)

朝日新聞 2023年2月27日 6時00分
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