【ニューヨーク=堀田隆文】米自動車大手フォード・モーターは23日、電気自動車(EV)事業の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)が2023年12月期に30億ドル(約3900億円)の赤字になるとの見通しを明らかにした。赤字幅は22年12月期の21億ドルから拡大する。販売台数の増加に伴い収益は改善し、26年12月期には事業利益率が8%に達するとの見通しも示した。

フォードは23年12月期決算から、EV事業の「フォードモデルe」、ガソリン車やハイブリッド車の「フォードブルー」、商用車の「フォードプロ」の3事業を中心とした事業別で収益を開示する計画だ。これまでの地域別から改め、投資家の関心が高いEV事業の採算を明確に示す。

この変更に先立って、事業別収益の実績や見通しを23日示した。「モデルe」事業は22年12月期に21億ドルの赤字で、23年12月期には30億ドルに赤字幅が拡大する見込みだ。23日の開示資料によると、22年12月期のEV事業の販売台数(卸売りベース)は9万6000台。販売台数がなお少ないなかで、開発・生産拡大に向けた投資負担が収益に響く。

26年までに世界で年200万台のEVを生産するという従来目標は据え置いた。生産・販売台数の増加に加えてコスト削減を進め、収益を改善するとしている。

22年12月期の全社の調整後EBITは104億ドルだった。EV事業で赤字を計上する一方、ガソリン車などの「ブルー」事業で68億ドル、商用車の「プロ」事業で32億ドルを稼いだ。23年12月期の調整後EBITは90億?110億ドルと見込んでおり、引き続き、この2つの事業の利益がEV事業の赤字を補うと予想している。

日本経済新聞 2023年3月24日 3:52
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23DXV0T20C23A3000000/