自分が暮らす市町村の外に出かける時、9割が自家用車を使う-。鉄道やバス会社にとって厳しい実態が、鹿児島県や関係団体などでつくる県地域公共交通協議会が本年度実施した県民アンケートの結果から浮かび上がった。専門家は、公共交通を存続させるには、住民が主体的に考えて動く必要があると指摘する。

 結果は同協議会の23日の会合で示された。19歳以上を対象とし、1071人が回答。住んでいる市町村外に移動する際、86.8%が「自家用車を自身で運転」、4.8%が「自家用車で送迎」と答え、自家用車派は計91.6%を占めた。バスとJRの利用は合わせても5.2%にとどまった。

 自家用車を利用する理由で最も多かったのは、「公共交通と比較して早く着く」(47.1%)。「ちょうどいい時間の便がない」(14.8%)、「公共交通は乗り換えが必要」(10.5%)、「駅やバス停まで遠い」(9.6%)と続いた。

 厳しい数字が並ぶ中、公共交通の存在感を示す結果もあった。同協議会が県内高校生1万2123人から回答を得た別のアンケートでは、鉄道やバスを通学(晴天時の往路)に使っている人は32.9%。雨天時では36.5%に上った。

 全国の地域公共交通を巡っては、利用が低迷するバスや鉄道が廃止の危機に直面し、地域活力の低下を憂える住民が反発する事例が見受けられる。

 こうした事態を招かないためには、どうすればいいのか。地域交通の実情に詳しい地域公共交通総合研究所(岡山市)の町田敏章専務理事は「住民自らが、自分の住む町がどうあってほしいかを主体的に考え、行政・事業者などと協働して公共交通の在り方を協議し、具体的な計画を策定する必要がある」と指摘する。

 県は「生活や観光に地域公共交通が使われているのは事実。確保・維持が重要」(交通政策課)としている。今後、協議会で議論を進め、2023年度中に交通体系の将来像を示す県地域公共交通計画を策定する方針だ。計画策定に当たり、住民が関与する機会を設けることが求められる。

南日本新聞  2023/03/27 07:50
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