米調査会社のIDCがこのほど公表したリポートによると、2023年の世界スマートフォン出荷台数は11億9280万台にとどまり、前年から1.1%減少する見通しだ。同社は先のリポートで今年の出荷台数が前年比2.8%増で推移するとしていたが、市場回復の遅さを理由に下方修正した。

■需要低迷と困難な経済状況

スマホ市場は依然として、需要の低迷と困難な経済状況に悩まされており、実質的な回復は24年になるという。来年の出荷台数は前年比5.9%増で、その後もしばらく1桁の成長で推移するとみている。27年の出荷台数は13億7100万台、23~27年までの年平均成長率(CAGR)は2.6%と予想している。

昨年の世界スマホ出荷台数は前年比11.3%減の12億550万台、昨年10~12月期は前年同期比18.3%減の3億30万台だった。IDCのリサーチディレクター、アンソニー・スカーセラ氏によると、今年は2つの傾向が見られる年になるという。

まず、上半期は昨年10~12月期からの下降トレンドが続く。上半期はほとんどの地域で引き続き2桁減少するという。そして、7~9月期にようやくプラスに転じ、10~12月期には2桁成長に押し上げられる。7~9月期と10~12月期に発売される高価格帯の旗艦モデルが市場を盛り上げ、状況の悪化を食い止めるという。

5G(第5世代移動通信システム)対応端末が成長を続けており、今年は世界で出荷されるスマホの62%が5G対応になるとIDCはみている。この比率は27年までに83%に拡大するとの予想だ。

■中国OPPOやオナー、モトローラ、折り畳み式に注力

折り畳み式端末も勢いがあるセグメントだという。その23年における世界出荷台数は前年比50%増で推移するとIDCはみている。

米経済ニュース局のCNBCによると、折り畳み式スマホは19年に韓国サムスン電子が同社初の製品を市場投入し、このカテゴリーが生まれた。また、シンガポールに本部を置く調査会社カナリスによると、昨年の折り畳み式スマホ出荷台数に占めるサムスン製品の割合は80%だった。

こうした中、今年は折り畳み式スマホが活況を呈す年になるといわれている。今年2月には中国のスマホブランドであるOPPO(オッポ)とオナーが自社の折り畳み式端末を発表した。CNBCによると、中国レノボ・グループの楊元慶CEO(最高経営責任者)は先ごろ、傘下のモトローラから折り畳み式スマホ「razr(レーザー)」の最新モデルを年内に発売すると明らかにした。

■狙いは高価格端末市場への進出

各社がこのカテゴリーの製品に力を入れるのは、現在アップルとサムスンが先行しているハイエンドスマホの市場に進出したいからだという。カナリスによると、スマホの世界出荷台数に占める、価格が800ドル(約10万5000円)以上の製品の比率は、20年時点の11%から22年は18%に上昇した。

また、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、800ドル以上のスマホの世界出荷台数に占めるアップルのシェアは、18年の65%から22年に76%に上昇した。この価格帯におけるサムスンのシェアは27%から17%に低下した。

4/23(日) 17:31
https://news.yahoo.co.jp/byline/kokuboshigenobu/20230423-00344620
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