「ご本人ですか?」。医療機関の受付で「女」と記された保険証を出すと
いぶかしげな顔で何度も確認される。名前を呼ばれて立ち上がれば、見た目とのギャップに周囲が奇異の目を向けてくる。

出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーのAさん(33)=東京=は
戸籍上は女性だが、男性として社会生活を送る。医療機関では何度も同じ経験をしてきた。

 「診察で体を診せるのは苦痛だが、それ以前の問題。病院に行きたくないから限界まで我慢してしまう。
病気の発見が遅れ、命を落としてしまった仲間もいる」と話す。

受診の際のつらさを耐えて病院にかかっても、手足の震えが止まらない時は
「トランスジェンダーのストレスのせいだ」と言われた。子宮の痛みで受診した産婦人科では
男性ホルモンを投与していることを理由に「専門医を受診して」と帰された。
産婦人科医は専門医じゃないのか、との怒りをぐっと飲み込んだ。

 職場でハラスメントに遭い、精神障害になって退職した際は、障害福祉サービスを利用したいと
考えたが「またハラスメントを受けるかもと怖くて相談できなかった」と振り返る。

●見下したような医師の言葉
 福岡市出身のBさん(33)は戸籍上の性別と異なる性自認がある。
あるつらい出来事から食事が喉を通らず、眠れない日々が続いた。
やっとの思いで心療内科を受診したが、トランスジェンダーのことを「女になりたい男ってこと?」と
医師から見下したように聞かれ、診察の途中で耐えられずに外へ出た。

「こんな世の中で生きていたくない」。帰り道、泣きながら友人に電話した。
以前から歯医者すら通いづらかったが、「行きたくない」が「もう行けない」に変わった。
「現状を知って、誰もが安心して利用できる環境を整えてほしい」と訴える。

続きはYahooニュース(西日本新聞) 2023/05/19 9:40
https://news.yahoo.co.jp/articles/05712717c564d617c7ba9d278286853efcdd8cb9