「鼻は高いほうがいい!」と捉えている人は少なくないはず。事実、鼻整形やノーズクリップ、鼻プチ……など、高い鼻を目指すさまざまな方法が世の中にはある。

今回、そんな鼻の高さにおける遺伝子的ルーツが明らかになったらしい。どうやら、ネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいると、鼻が高くなる傾向にあるんだそう。

科学誌『Communications Biology』に掲載された研究では、ラテンアメリカ出身のヨーロッパ人、ネイティブアメリカン、先祖がアフリカ系の人の遺伝子を分析。対象人数は6000人にのぼるという。

その結果、ネアンデルタール人に由来する遺伝子を多く持つ人は、鼻が高い傾向にあったようだ。

なお、鼻を高くする遺伝子を持つ人は、祖先が寒い地域で生活していたと考えられているとのこと。というのは、鼻が高いと吸い込んだ空気を温めて加湿する効果が得られるからだ。

つまり、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交配で鼻を高くする遺伝子が継承され、寒冷な環境に適応する必要があった祖先に強く残り、それが現代人に受け継がれている、というわけなんだそう。

今回の研究に日本人は含まれていないため、どれくらいの日本人が鼻を高くする遺伝子を持っているかは不明だ。

日本でも鼻の高い人は、もしかしたらネアンデルタール人由来の遺伝子を継承しているかもしれない。

2023/05/19
https://tabi-labo.com/306603/wt-tall-nose-neanderthals
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■ネイティブアメリカン系に”鼻高DNA”が強く現れていた

今回の研究は、中南米の5カ国(ブラジル・コロンビア・チリ・メキシコ・ペルー)に在住するヨーロッパ系、ネイティブアメリカン系、アフリカ系の祖先を持つ6486人を対象としました。

参加者の遺伝子データと顔写真の点間距離(下図)を比較し、顔の特徴と遺伝子マーカーがどう関連しているかを分析します。

その結果、顔のかたちに関連する33カ所のゲノム領域が新たに発見されました。

そしてネイティブアメリカン系の祖先を持つ人々は、ATF3と呼ばれるゲノム領域にネアンデルタール人由来の遺伝子が多く見つかり、さらに他のグループと比べて鼻が高い傾向にあることが判明したのです。

これはネアンデルタール人特有の鼻の高さが、遺伝的な形質として発現していることを示しています。

加えて、ATF3領域には「自然選択(生存に有利な形質が子孫に伝わり、不利な形質は捨てられる現象)」の兆候が見られ、鼻の高さが祖先たちに生存の優位性を与えていることが示唆されました。

では、鼻を高くすることにどんなメリットがあるのでしょうか?

(省略)

鼻が高くて長い方が加湿や加熱の効果は大きくなり、冷たい空気が直接肺に流れ込むことを回避できるのです。

よって、寒い地域では高くて長い鼻が、暑い地域では低くて短い鼻が自然選択されやすくなると考えられます。

(省略)

彼らの祖先はモンゴロイド(東アジア・東南アジア・南北アメリカなどに分布)であることが分かっており、その一群が約2万5000年前にアジアからシベリアに進出しました。

そこからベーリング海を渡って北アメリカ大陸に入り、ネイティブアメリカンとなったのです。

当時は最終氷期の最盛期に当たり、シベリアや北アメリカの寒さは極めて厳しいものでした。

おそらく、その過酷な寒さを生き抜くためにネアンデルタール人由来の”鼻高DNA”が自然選択されて、ネイティブアメリカンのうちに残ったのでしょう。

一方でネアンデルタール人のDNAは他にも、アフリカ以外に住む現代人の50%が持っており、日本人も約30%が保有していると言われています。(以下ソース)

https://nazology.net/archives/126014