https://www.sankei.com/article/20230524-2IMYDIQPPVK4JOOOESYR7WIJWM/

東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故時の避難計画に不備があるとして、石巻市民17人が東北電に2号機の再稼働差し止めを求めた訴訟の判決で、仙台地裁(斉藤充洋裁判長)は24日、原告の訴えを退けた。東北電は令和6年2月、東日本大震災の被災地で初となる2号機の再稼働を目指している。

争点となったのは、宮城県が関与して石巻市が作成した避難計画の実効性だった。原告側は、原発事故で避難指示が出れば道路が渋滞し、原発30キロ圏内に何日もとどめられ、放射線被ばくの高リスクを負うなど人格権が侵害される危険性があると主張。

石巻市民は30キロ圏外の避難所へ向かう前に放射性物質に汚染されていないか調べることになっているが、原告側は渋滞で県や東北電の派遣要員が到達できず検査場所を開設できないとも訴えていた。

東北電側は、避難計画を含む緊急時の対応について国の原子力防災会議で合理性が認められていると反論。請求棄却を求めていた。

原告側弁護団によると、避難計画の実効性だけを争点に起こした原発差し止め訴訟は全国で初めて。3年には水戸地裁が避難計画の不備を理由に、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の運転を認めない判決を出している。

女川原発2号機は、出力82万5千キロワット。沸騰水型軽水炉(BWR)で、平成7年に営業運転を始めた。23年3月の東日本大震災では自動停止。最大約13メートルの津波で海水が取水路から流入し、原子炉建屋の地下が浸水した。令和2年2月、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に合格。その後、県と石巻市と女川町の議会と首長が再稼働に同意した。東北電力は6年2月の再稼働を目指している。