PFASの知見蓄積を怠った日本 分からないことだらけで「Q&Aすら作れない」…水質基準は米国のコピー
東京新聞2023年6月15日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/256681
詳しくはリンク先へ
https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/0/e/1/f/0e1fc0c717ff4651bc992ea46a3462c2_2.jpg
https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/2/0/f/0/20f01793bc2b548acbdb6efceb88842f_2.jpg
PFASに対する総合戦略を検討する専門家会議で議論する委員ら=3月、東京都中央区で
https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/2/0/f/0/20f01793bc2b548acbdb6efceb88842f_5.jpg
大阪府のPFAS汚染を調査するために水を採取する小泉昭夫・京都大名誉教授=2002年撮影、京都大・原田浩二准教授提供

https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/9/8/9/e/989e09c011e4cdb9a4a1553f0a522a77_6.jpg
<連載 汚れた水 PFASを追う>④

 2019年7月、東京都新宿区の国立感染症研究所で開かれた会合に出席した化学物質評価研究機構の技術顧問の広瀬明彦(61)は、そう発言した。集まったのは、化学物質や水道の専門家ら。この日、国内の水道水のPFAS(ピーファス)規制に向けた議論がようやく始まった。

◆米欧は2010年代半ばには基準設定

 厚生労働省の水質基準逐次改正検討会。米欧などは、すでに10年代半ばには水道水の水質基準を設定していた。会議の約1カ月前には、都水道局が、独自にPFAS濃度が高い多摩地域の水源井戸5カ所の取水を停止。国内での基準値設定は喫緊の課題だった。
 どの程度を摂取すればどのような健康被害が出るのか。国の機関が研究をリードしていた海外に比べ、日本では「毒性」の科学的知見が圧倒的に足りていなかった。広瀬がこう振り返る。「(議論のスタートは)海外での知見を集めることだった。いろんな化学物質がある中で国にとってPFASの優先順位は高くなかったのだろう」

◆「一番低い評価をとりあえず採用」

 議論開始から7カ月後、国が基準値案を示し、PFASの一種PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計値で水道水1リットル当たり50ナノグラム以下を暫定目標値とした。根拠は、米国が16年に定めた生涯健康勧告値の同70ナノグラム。基本的なデータは米国の評価をそのままに、日本国民の平均的な体重50キロで換算し直した。広瀬は国の案を了承するに当たり「(海外の)一番低い評価をとりあえず採用したということだ」と総括した。
 国内の知見不足は、今も続く。今年1月の検討会では委員の一人が「目標値が『暫定』である限り、(水道事業者が守る)水質基準項目にはならない」と指摘。毒性評価の研究を早急に進めるよう求めた。
 暫定値の影響で、調査や運用は自治体に丸投げ。現状では、PFAS濃度の測定や対策は義務付けられていない。
 本紙の情報公開請求によると、都水道局は21年時点で、同50ナノグラムを上回っていた10カ所以上の水源井戸の取水を続けていた。別の井戸や河川の水を混ぜて低濃度に薄めてから各家庭に配水している。この対応に、都水道局の担当者は「問題ない」としている。

◆科学者は報告した…国は動かなかった
続きはリンク先へ

関連
【東京】多摩地域550人余に採血検査 ほぼ全てでPFAS検出 浄水器利用で濃度低い傾向も
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1684236549/