厚生労働省が4日公表した国民生活基礎調査によると、子育て世帯の平均所得は2021年に785万円で、全世帯の平均所得(545.7万円)の1.4倍だった。収入が子供を持つかどうかの選択に影響する様子がうかがえる。65歳以上の高齢者世帯では318.3万円だった。

高収入の家庭ほど子供を育てやすい、収入が少ないと子供を持ちにくいといった実態が浮き彫りになった。少子化は進んでおり、18歳未満の子供がいる世帯は22年に991万7000世帯と、1986年の調査開始以来初めて1000万世帯を割った。

厚労省の担当者は「お金があるから結婚でき、子供も持つ傾向にある」と分析する。内閣府の調査でも、所得400-499万円の子育て世帯の割合が2014年の12.9%から19年に9.4%まで減っている。世帯所得が500万円を切ると減少傾向が強い。

全世帯の平均所得は前年比3.3%減だった。20年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた1人10万円の特別定額給付金があった反動で、4年ぶりの減少となった。

世帯員の分析では、1人暮らしの単身世帯が32.9%(1785万2000世帯)と初めて3割を超えた。未婚の社会人が増加する一方、寿命の延びで単身の高齢者も増えている。高齢者世帯も31.2%(1693万1000世帯)と3割を超えた。

日本経済新聞 2023年7月4日 19:34
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