甲の部分が神戸レザーのスリッパ。中敷きも上質な生地だ(永田良介商店提供)
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神戸レザーの椅子。パリの展示会で注目を集めた=神戸レザー協同組合提供
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松阪牛の革の財布(バンビ提供)
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近江牛の革を持ち手などに使ったバッグ(Cogocoro提供)
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■食肉加工後の皮活用、環境配慮にも

神戸牛や松阪牛など、ブランド和牛の革製品が注目されている。食肉加工された後、十分に活用されていなかった皮を利用すれば環境への配慮につながる。「ブランド和牛の革を使っている」という希少性も人気の背景にあるようだ。

神戸市の会社社長、生駒琢磨さん(37)が愛用するのは、神戸牛の皮を兵庫県内でなめした「神戸レザー」でできたスリッパだ。職人が手で仕上げ、神戸市の家具店「永田良介商店」が販売しているもので、一足1万9800円。生駒さんは「足にフィットして履き心地がいいし、『食べたら使う』というコンセプトとおしゃれなデザインが気に入っている」と喜ぶ。

神戸牛の革を活用しようと、神戸市の皮革関連企業などは2019年、「神戸レザー協同組合」を設立し、現在は約20社が神戸レザーの製品を作っている。今年1月には、パリで開かれたインテリアの展示会「メゾン・エ・オブジェ」に椅子やランドセルなどを出品し、高度ななめし技術や、食肉加工した後の皮を活用していることなどが注目を集めた。

理事長の片山喜市郎さん(40)によると、和牛の皮は脂が多くて薄く、なめすのが難しいため、国内の革製品には輸入した革が使われることが多かった。だが、神戸牛を活用するため、コストをかけてなめしてから使うようにしたという。

片山さんは「海外から革を運んでこないので、輸送のコストやエネルギーがかからないという利点がある。さらに、これまで十分に活用されていなかった皮に価値を見いだし、製品にすることは環境への配慮につながる」と話す。また、大切に育てられたブランド和牛で作られているというストーリーにひかれて買う人も多いという。

神戸牛と並ぶブランド和牛で、三重県産の「松阪牛」も革製品に使われている。松阪牛で革製品を作っているのは、東京都台東区のメーカー「バンビ」。同社の販売企画担当、片山真吾さんは、「コードバン(馬の皮)のようなぜいたくな光沢感と独特の柔らかさが特徴です」と、素材としての松阪牛の品質の高さを評価する。

同社の腕時計のベルトや財布には、松阪牛の個体識別番号が刻印されているものがある。その番号を専用のウェブサイトに入力すれば、生産した農家を調べることができるというトレーサビリティー(履歴管理)制度も人気の要因の一つだ。

滋賀県では、近江牛を飼育する「岡喜牧場」と、近江八幡市の革製品の工房「Cogocoro」が協力して、革を持ち手に使ったトートバッグやキーケースを製造、販売している。

環境や社会に配慮した消費行動は「エシカル消費」と呼ばれている。(以下ソース)

7/22(土) 8:50配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0163a3c20cb8e1f409e2798854eb747b6b4c8ac