昨年2月の開戦からこれまでの間、長きにわたりウクライナへの全面支援を続けてきた西側諸国。しかし各々の国の状況は、国民の不満がいつ爆発しても不思議ではない地点にまで達しているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、最新の戦況と「ウクライナ支援疲れ」がますます高まりを見せている欧米各国の現状を解説。(後略)

(省略)

特にオデーサへの攻撃は連日、行われて、世界遺産の大聖堂なども破壊されている。穀物倉庫の被害も大きい。

このオデーサへの攻撃を封鎖するには、パトリオットが必要であり、援助してほしいとゼレンスキー大統領は述べている。

日本は、ウクライナに軍事支援ができるように、武器輸出の制限緩和の法改正を検討しているが、公明党が反対している。自公の連立政権を解消して、自維国の連立政権にする必要があるとみる。

■欧米各国で上がるウクライナ支援過多への不満の声

黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意停止と積み出し港であるオデーサ港湾施設、穀物倉庫の破壊で、世界は危機的な状況になるとみる。

特にアフリカや中南米などの発展途上国の食糧問題が出てくるし、食糧価格の高騰で、再度インフレが高騰することになるとみる。

このため、ドナウ川経由での穀物積み出しを検討しているが、そのドナウ川の港湾施設にもロ軍はミサイルを撃ち込んでいる。

ロシアの条件は、SWIFTへの接続であり、国連はその条件を飲もうとしているが、欧米諸国とウクライナは反対して、代替ルートの開発を考えている。

逆にプーチンに対して、南アのラマポーザ大統領は、「私たちは、黒海経由の穀物輸出の実現を提案しているし、私たちはアフリカへの『プレゼント』を求めてここに来たのではない。アフリカへの穀物の無償供給には敬意を払うが、それは私たちの主目的ではない」と述べて、ロシアも黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意履行に戻ってほしいと述べている。

しかし、一方で、ウクライナへの援助が、いつまで続くのか欧州諸国も不安になっている。ドナウ川経由のコスト上昇分をEU各国が持つことになり、その上国内景気も悪くなり、予算もウクライナ支援が多く、国民の不満もたまっている。早く決着してほしいという感じが出てきている。

米国でも、バイデン政権は「ウクライナにのめり込みすぎ」の声が強まっている。どちらにしても、ウ軍は早く結果を出さないと、欧米諸国は、待てなくなっている。

ウ軍情報総局のブダノフ局長も、「クリミア半島が侵略者から解放されるまでそう長くはかからないだろうし、ベラルーシのワグナー軍は国防軍にとって特に危険な存在ではない。」と述べている。ブダノフ局長も、欧米のウクライナ疲れを気にしているようである。

オースティン米国防長官も、ウ軍の軍事力に自信を表明し、同国は「成功する準備が十分に整っている」し、「彼らにはまだ多くのチャンスがある」と語った。これも、ウクライナ疲れを緩和する米国内向けであろう。

9月には米国の主力戦車「エイブラムス」がウクライナへ到着する可能性があるという。F-16は年末にはウクライナに供与される可能性がある。ウ軍の大攻勢も2023年を越えて、2024年まで続くことになるが、早期に結果を求められている。(以下ソース)

2023.08.01
https://www.mag2.com/p/news/581463
https://www.mag2.com/p/news/wp-content/uploads/2023/07/shutterstock_2329448155.jpg