以心伝心

イスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの大規模テロ攻撃と、イスラエル軍による反撃で、双方で4000人を超える死者が出ている。実に痛ましい事態だ。
(略)
このまま放置すれば、第三次世界大戦が勃発しかねない様相だ。万が一、核戦争などが起きれば、世界中で想像を絶する犠牲者が出かねない。そこには勝者はいない。G7(先進7カ国)だけでなく、BRICs(有力新興5カ国)の首脳も、冷静になって共存する道を探るべきだ。G7議長である岸田文雄首相の存在感が見えないのが、残念でならない。


さて、臨時国会が今週20日に召集される。これに先立ち、報道各社の世論調査が行われ、岸田内閣の支持率が軒並み「過去最低」を記録した。当然だと思う。

国民の生活が、円安や物価高などで苦しいなか、岸田首相にその痛みが伝わっているとは思えない。岸田首相が9月、「税収増を国民に還元する」と語り、党内外で「減税議論」が盛り上がったが、ここに来て、党幹部から減税に消極的な意見が漏れてきた。

そもそも、岸田政権には、国会議員の優遇・厚遇にメスを入れる様子はない。国会議員には給与(歳費)とは別に、国民の血税から「第2の給与」と呼ばれる月額100万円の「文書通信交通滞在費」が支給されていた。一昨年10月の衆院選で当選した新人や元議員にも、在職わずか1日で満額支給されたことで大いに問題視された。

改革論が盛り上がり、「日割り支給」と、不可解な「調査研究広報滞在費」への名称変更は実現したが、日本維新の会が主張してきた「使途公開」と「領収書添付」は見送られたままだ。岸田自民党には「議員特権を維持したい」「国民はそのうち忘れる」と思っているのではないか。


自民党と公明党は衆参で圧倒的多数を握っている。本気で「第2の給与」を改革しようと思えば、LGBT法を通常国会で成立させたように、秋の臨時国会で簡単に通せる。もし、岸田首相に改革意欲がないなら、政権を代わってもらうしかない。(前大阪府知事、前大阪市長・松井一郎)

週刊フジ 2023/10/22 09:00
https://www.sankei.com/article/20231022-SZ7S3DGJW5CGBJMBBKPBQBVCSE/?outputType=theme_weekly-fuji