米アウトドアブランド「エディー・バウアー」が再上陸した。6日に大阪府などで再上陸後初の店が開設されて以来、これまで計4店舗が出店した。ダウンジャケットなどアウトドアを軸に商品を絞り、若者を開拓する。年5店のペースで商業施設を中心に出店を進め、直営店での年間売上高は2028年6月までに25億~30億円を目指す。

再上陸後の出店はアパレルメーカーの水甚(岐阜市)が手掛ける。6日に高槻阪急スクエア(大阪府高槻市)、イオンモール福岡(福岡県粕屋町)、モラージュ菖蒲(埼玉県久喜市)に店舗を開設。13日には、ららぽーと愛知東郷(愛知県東郷町)にオープンした。

エディー・バウアーが21年に撤退する前の店舗面積は平均300平方メートルほどだったが、今回は100~150平方メートルに縮小。水甚の中村好成社長は「商品数をアウトドアを軸にある程度絞り、お客様に(アウトドアの印象が強い)エディー・バウアーのイメージを発信したい」と話す。

水甚はエディー・バウアーが示したデザインの方向性を基に日本向け商品を企画する。以前はカジュアル衣料やビジネスシーン向けなどと幅広かったが、再上陸後はエディー・バウアーの強みであるアウトドアを軸に事業を展開することに転換した。水甚が日本市場での製造・販売を担う。

狙う主な顧客層も撤退前と変えた。かつて主要顧客だった50~60代に加え、今回は20~30代の新規客も狙う。商品構成では、ダウンジャケットやマウンテンパーカーなどのアウトドア商品と、ニットやフリースなどのカジュアル商品の種類を半数ずつそろえる。

水甚は原材料の調達力などを生かしたダウンジャケットの生産に強みを持つ。中村社長は「当社の強みが(エディー・バウアーの戦略と)マッチした」と指摘する。

商品単価は1~2割程度上げた。原料高は影響しているものの、高品質な素材を使うなど、価格を戦略的に引き上げた。ダウンは膨らみやすさを表すフィルパワーが700~800と高品質なものが標準で、価格は3万~5万円ほどだ。

水甚は今後、大都市圏を中心に駅ビルやショッピングセンターなどに出店する予定。将来はリゾート地などへの出店も視野に入れる。

大手セレクトショップにも卸す。まずユナイテッドアローズやアパレル大手のジュン(東京・港)の店舗でも販売してもらう。また公式サイトで販売を始めたほか、18日にゾゾタウンに出店した。10月下旬には楽天ファッションにも開設する。

エディー・バウアーは1920年に米シアトルで誕生した。米国で初めてダウンジャケットを制作したことで知られている。日本市場では21年に撤退するまで約60店を展開していた。その後は伊藤忠商事が米投資ファンドのオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)から日本市場のマスターライセンス権を取得。水甚とサブライセンス契約を結んでいる。

(米田百合香)

日経MJ2023年10月22日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2148Y0R20C23A9000000/