東京電力福島第一原発の「処理水」の海洋放出を巡り、一部のメディアが英字記事で「Fukushima water」と発信していることがわかった。
国や東電、IAEAなどは処理水を英語で表記する場合、「Treated water(処理された水)」と記載している。

「Fukushima water」という表記を使うことで、福島の水自体が原発事故由来のものだとイメージさせ、新たな偏見や差別をうむ恐れはないだろうか。
ハフポスト日本版は、福島の被災地を研究する社会学者で、東京大学大学院情報学環の開沼博准教授を取材。
「Fukushima water」と発信したメディアにも見解を尋ね、この言葉が与える影響や問題点を探った。

●経緯を振り返る
福島第一原発では、原子炉建屋に雨水や地下水が流入するなどして、放射性物質を含む汚染水が発生している。これを多核種除去設備(ALPS)などに通し、トリチウムを除く放射性物質を国の安全基準を満たすまで除去したものが処理水だ。
【中略】
●「Fukushima water」共同が見出しに記載
一方、この処理水の海洋放出を受け、共同通信は9月28日、次のような見出しで英字の記事を配信した。

「Japan to begin releasing second batch of Fukushima water on Oct. 5」

2回目の海洋放出が10月5日に行われることを報じた記事だが、処理された水であることを示す「Treated water」ではなく、「Fukushima water」と記載されていた。

ただ、記事の中身は「treated radioactive water from the wrecked Fukushima Daiichi nuclear power plant(事故を起こした福島第一原発から放出される放射性物質を含む処理水)」となっていた。

ほかの主要メディアも同様に2回目の海洋放出が始まることを報道しているが、それぞれの見出しは次の通りだった。

▽NHK
「TEPCO to start second round of treated water release on Thursday」(10月5日)

▽読売新聞
「TEPCO to Start 2nd Release of Treated Water from Fukushima N-Plant from Thursday」(10月2日)

▽朝日新聞
「Second round of treated nuclear water release set to begin Oct. 5」(9月29日)

いずれも「treated」が使われている。一方、毎日新聞は9月28日、「Japan to begin releasing second batch of Fukushima water on Oct. 5」と報じたが、これは共同通信の記事を転載したものだった。

海外メディアでは、ロイター通信が「Fukushima water」、BBCニュースが「Fukushima waste water」などとしていたが、ニューヨーク・タイムズやABCニュースは「treated」をつけて報じる記事もあった。

続きはハフポスト 2023/10/26
https://www.huffingtonpost.jp/entry/media-fukushima1_jp_652600a3e4b09f4b8d4236d8