ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に関して「中東での戦争に(世界の)注目が移っているのは明らかだ」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻への関心低下に懸念を示した。首都キーウ(キエフ)を訪問した欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長との共同記者会見で語った。英BBC放送が報じた。

 報道によると、会見でゼレンスキー氏は、ウクライナ情勢への関心低下は「ロシアの狙いの一つだ」と指摘した。

 一方、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が英誌エコノミストへのインタビューで戦況の「行き詰まり」を認めたことへの見解を問われ、ゼレンスキー氏は「誰もが疲弊しており、異なる意見もある。しかし、現況は『行き詰まり』ではない」と訴えた。

 また、米欧の当局者がウクライナ政府に対し、ロシアとの和平協議に関する議論を持ちかけたとする米NBCの報道にも言及し、「ロシアとの交渉の席に着くよう圧力をかけている米欧の指導者はいない。こんなことは起きない」と否定した。

 ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した。ウクライナは23年6月から南部ザポロジエ州などで反転攻勢を始めたが、ロシアによる3段構えの防御線の一つ目を一部で突破するにとどまっている。一方、ロシアが10月から東部ドネツク州で仕掛けた攻勢も、大きくは進展していない。

毎日新聞

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