全国の漁港で水揚げされる水産物の種類に変化が生じている。日本近海の海水温が上昇し、漁場が北方にシフト。温かい海を好むブリが北海道で大漁となったり、西日本が主産地のタチウオが東北でとれるようになったりしている。新たな魚が水揚げされるようになっても漁獲量が安定せず、漁師らが頭を悩ませている。(浜田萌、東北総局白石通信部 吉田一葵)

「海、全然違う」
 今月9日朝、北海道函館市の木直(きなおし)漁港には小型のブリが次々と水揚げされていた。この時期に多くとれるはずのイカは、ブリの中に少し交じっている程度。サケは皆無に近い。漁師の男性(46)は「ブリがとれないと、もうやっていけない。これまでの海とは全然違う」と嘆いた。

 「イカのまち」として知られる函館市だが、近年はイカの記録的な不漁が続く。2012年に2・3万トンあった漁獲量は、22年に3100トンと約13%に減少した。

 代わりに多くなったのがブリだ。12年の漁獲量は3600トンだったが、20年には1万トンを超え、22年も4500トンだった。道全体では、20年と21年に全国トップとなった。

 東北や北陸の漁港でも、異変が見られる。各自治体の統計などによると、宮城県ではサンマやサケが減り、「暖水性魚種」とされるタチウオやワタリガニがとれるように。富山県では、ハワイで高級魚として人気のシイラが増加している。

海洋熱波が頻発
 魚介の顔ぶれを変えている要因の一つが、海水温の上昇だ。水産庁などによると、日本近海では22年までの100年間で海水温が1・24度上昇。海水温が数日から数年にわたって急激に上昇する「海洋熱波」の発生頻度も大幅に増加している。

 このため、日本近海の魚の生息海域が北方にシフト。冷たい水を好むサンマやスルメイカ、サケの漁獲量は急減し、13年は3魚種で計49万トンあったのに、22年は13・6万トンにとどまった。

 一方、温暖な海に生息するブリが北方に分布するようになり、タチウオやフグなども、北海道や東北で局所的に水揚げが増えている。(以下ソースで


11/16(木) 16:00配信 読売新聞オンライン
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