対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIの取締役会が、17日に解任したサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)の復帰を協議していることが18日分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など複数の米メディアが報じた。役員や社員が相次いで退社を決め、投資家から反発を受けたため。

 NYTによると、オープンAIに巨額の出資をしている米マイクロソフトなどが取締役会に復帰を迫った。アルトマン氏は既に新会社の設立に向け動き始めており、同氏の解任に反発して辞任した共同創業者のグレッグ・ブロックマン氏や複数の社員が合流する見通し。投資家たちは、この新会社を支援する考えも示し、取締役会にアルトマン氏復帰の圧力をかけたという。

 ただ、オープンAIは非営利組織によって運営されているため、出資する投資家は株主のような発言権を持っていない。アルトマン氏自身が新会社設立に傾いている可能性もあり、復帰するかどうかは不透明だ。

 NYTなどによると、取締役会が解任を決めたのは「アルトマン氏がAIのリスクに十分な注意を払っていない」と懸念したため。ただ、アルトマン氏は5月に米連邦議会の証言でAI規制を提言するなど、リスク管理の重要性を訴えている。


 一方、ブロックマン氏はアルトマン氏解任が突然の出来事だったことを「X」(ツイッター)で明かした。

 それによると、16日夜、アルトマン氏は取締役会から17日正午にオンライン会議を開くと連絡を受けた。会議にはブロックマン氏を除く全取締役が出席しており、その場で突然解任を告げられた。その直後、ブロックマン氏は取締役会から電話でアルトマン氏の解任と自らの取締役からの降格を知らされたという。【サンフランシスコ大久保渉】

毎日新聞 2023/11/19 14:26(最終更新 11/19 14:26) 738文字
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