※2023/12/6 18:20
毎日新聞

 「一人娘をなけなしの貯金で進学させたい。お許しいただきたい」。こうした謝罪文が、埼玉医大総合医療センター(埼玉県川越市)の岡秀昭教授(感染症科)の元に次々と届いている。差出人は過去に誹謗(ひぼう)中傷を投稿した人物だ。新型コロナウイルスを巡っては、多くの医療従事者が中傷にさらされた。岡教授は被害をなくそうと、悪質な投稿者の情報開示や賠償を請求している。中傷との戦いは、コロナ禍が沈静化した今も続いている。

エスカレートする投稿
 「ムカつくどころかぶっ●したいくらい憎んでまっせ」

 「人の人生と幸福を潰しておいて、何の痛痒(つうよう)も感じない(中略)殺意に近い感情が湧いてきます」

 「おいハゲ、○すぞ」

 岡教授が中傷を受け始めたのは、医療現場の逼迫(ひっぱく)状況をSNS(ネット交流サービス)で発信した約3年前からだ。

 デルタ株が猛威を振るった「第3波」の2020年11月末に「現場感覚では限界」と投稿し、「医療崩壊」が起きる可能性を指摘すると爆発的に拡散した。

 その後も現場の感染症専門医として、テレビや新聞、ネットニュースなどで、「ワクチン未接種者が重症化する傾向が高い」などと対策を呼びかけた。

 感染爆発でスタッフが疲弊したり、感染したりして戦線離脱し、人手が足りない現場の状況なども発信。臨床の傍ら、SNS上で積極的に発言を続けた。

 だが、中傷は23年3月に岡教授本人が感染するとエスカレート。家族の写真を侮辱の言葉と共に拡散されたこともあった。脅迫めいたダイレクトメッセージも多数届いたという。

投稿者から届いた手紙
 岡教授は東京地裁に投稿者の開示を申し立て、X(ツイッター)社から13件の携帯電話番号やメールアドレスが開示された。利用者の氏名や住所も明らかとなり、166万円の損害賠償などを請求。悪質な投稿者は川越署に刑事告訴した。

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https://mainichi.jp/articles/20231206/k00/00m/040/229000c