全国各地の博物館で、保管スペースが慢性的に不足している。

地域住民からの寄贈が続く一方で、収蔵庫を広げる財政的な余裕がないためだ。温度や湿度の管理が不十分な状態で保管を強いられている例もあり、「多くの資料を後世に残す」という博物館の使命が危機に直面している。

なまはげの面や農機具、動物の剥製(はくせい)――。

秋田県立博物館(秋田市)では収蔵庫の棚は埋まり、一部のコレクションがあふれている。
1975年の開館時、収蔵品は約2万8000点だったが、現在は約7倍の19万点に達する。

毎年、地元住民らから約1000点を引き取っており、収蔵品の約7割は寄贈品で占められている。家の後継ぎがいなくなったり、県外への引っ越しで家を処分したりする際に寄贈を申し出る高齢者が多いという。

劣化を防ぐため、収蔵庫内は室温20度、湿度60~65%に保っている。しかし、引き取った品々のリスト化といった資料整理が追いついておらず、一部の収蔵品は段ボールに入ったまま。

同博物館の主任学芸専門員、新堀道生さん(53)は「新しい収蔵庫をつくるのが理想。県の担当部署に現状を伝えているが、予算的に厳しいようだ」とこぼす。

博物館法は、博物館の主な役割を「資料の収集」「保管」「展示」「調査研究」としている。
このため多くの博物館は、寄贈品は可能な限り受け入れ、引き取った資料は廃棄しないことを原則としている。

日本博物館協会の2019年度の調査によると、回答した2314館のうち、「収蔵庫がほぼ満杯」「収蔵庫に入りきらない資料がある」と回答したのは57・2%で、6年前の調査に比べて約10ポイント上昇した。

また27・2%の博物館が、博物館の外に収蔵スペースを設けていると回答している。
廃校になった校舎を有効活用している例もあるが、学校施設には温度や湿度を一定に保つ設備がないため、動物の剥製や古文書などの保管には向いていないという。

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[読売新聞]
2024年1月11日(木) 15:28