女性受刑者が出産する際には手錠を外すという国の通達に反し、手錠のまま出産したケースが2014~22年に6件あったことが判明した。小泉龍司法相が8日の衆院予算委員会で、立憲民主党の源馬謙太郎氏の質問に答えた。ただ、以前から、人権団体は「通達後も守られていないのでは」と指摘していた。女性受刑者の人権に対する意識が欠けていないだろうか。(森本智之)

◆法務省は「出産時は手錠をしない」と通達を出した
通達は14年12月、上川陽子法相(当時)の指示に基づき、法務省が出した。「受刑者の心情について検討した結果、出産時は手錠をしない取り扱いとする」とされた。

刑事収容施設法は、受刑者が刑事施設の外に出る場合、逃走の防止などを目的に手錠を使用できると定めている。通達以前の状況について、国は把握していないというが、外部の病院で出産する際、同法に基づき、手錠を強いられた受刑者が一定数いたとみられる。

◆通達のきっかけは受刑者の手紙
当時の報道によると、通達は出産を控えた受刑者が出した1通の手紙がきっかけだった。覚醒剤取締法違反(使用)の罪で実刑判決を受けた岐阜県の笠松刑務所の女性受刑者が「手錠をはめて分べん台にのる様です。仕方ないと思って、今は現実を受け入れています」と内縁の夫に手紙を送った。夫は刑務所側などに働きかけ、女性は手錠なしで男児を無事に出産。これが通達につながった。

続きは東京新聞 2024/02/10
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