(ブルームバーグ): ブラジルのサンパウロで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2月29日、パレスチナ自治区ガザとウクライナでの紛争を巡る対立が解けず共同声明の採択を見送り閉幕した。

ブラジルのアダジ財務相は記者団に対し、地政学的な問題で意見がまとまらなかったと述べ、共同声明に代わり議長総括を出すと説明。その後すぐに発表された議長総括には具体例を示さず、「戦争とエスカレートする紛争」や「地理経済の分断」などの表現が盛り込まれた。

事情に詳しい関係者は先に、政治的な争いが参加国の間に摩擦を生んでいるとブルームバーグ・ニュースに語っていた。

議長総括によると、G20会議では「世界経済の見通しを巡り、現在進行中の戦争や紛争、人道危機について意見を交換し、ウクライナとガザに照準」を定めた。議長国であるブラジルは、財務会合は地政学的な問題を解決するための最も適切なフォーラムではないと指摘し、これらの問題に関係するフォーラムや会合で引き続き議論することを提案したという。

今週の会議では、ロシアが2022年に始めたウクライナへの軍事侵攻に強く反対し、厳しい経済制裁を発動してきた米国主導の先進国陣営と、侵攻を批判していても米国の制裁を支持することに消極的なその他の国々との間でおおまかな分裂が見られた。米国に次ぐ世界2位の経済大国である中国はウクライナ侵攻を巡り、事実上ロシア側に立っている。

ガザ紛争に関しては、G20の大半が即時停戦を呼びかける世界的コンセンサスを支持。米国は即時停戦を求める国連決議案に拒否権を発動している。

原題:Ukraine and Gaza Split Prevents G-20 From Issuing a Communique(抜粋

3/1(金) 14:00配信 Bloomberg
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