(舛添 要一:国際政治学者)

 4月2日、バイデン大統領と習近平国家主席が電話で会談した。昨年11月にカリフォルニア州で行われた米中首脳会談以来のことである。会談は約1時間45分間行われ、「率直で建設的」だったという。

 ウクライナ戦争をめぐって米露関係は険悪な状態になっているが、米中関係は外交的には安定しているように見える。両国は、今後、世界をどのように変えようとしているのか。

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 4月2日にシンガポールのシンクタンク、ISEAS(ユソフ・イシャック研究所)は、ASEAN10カ国の研究者や政府当局者を対象にした世論調査結果を発表した。

 それによると、「アメリカか中国かの選択を迫られた場合、どちらの国を選ぶか」という質問に対して、アメリカが49.5%、中国が50.5%で、中国が上回った。昨年は、アメリカが61.1%、中国が38.9%であり、中国びいきが11.6%も増えている。アジアでも、中国の攻勢の前に、パックス・アメリカーナは確実に崩壊しつつある。

 中国を選択した人が多かったのは、マレーシア(75.1%)、インドネシア(73.2%)、ラオス(70.6%)である。中国との貿易や中国からの投資で大きな利益を得ているからである。

 これに対して、領有権をめぐって中国と争いっているフィリピンやベトナム、またシンガポールでは親アメリカが多い。

 第二次世界大戦後に発足した国連は、戦勝国クラブであり、日本、ドイツ、イタリアなどは敗戦国の地位にあった。しかし、戦後の経済復興とともに、日独伊は国際社会で大国としての地位を回復し、先進国クラブ(サミット、G7)のメンバーとして結集することになった。日独伊など旧敗戦国にとっては、国連では果たせない影響力をG7の場で行使している。

 しかし、先述したように、今や世界におけるG7の相対的重みは減じている。国連やG7以外にも、EU、G20、上海協力機構(Shanghai Cooperation Organization、2001年6月に発足、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イランがメンバー)、グローバルサウスなどの集まりがますます重要な役割を果たすようになっている。

 まさに世界は多極化しているのである。それぞれのグループが、国連を補強し、世界の平和と繁栄のために努力することが紛争の除去につながるであろう。たとえば、気候変動がもたらす地球温暖化、感染症の頻発などのグローバルな課題に全人類的観点から対応する必要性が増えていると言えよう。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/794c901f64039cfc8ec0aa1e6a32981087fee971