北陸新幹線の京都―新大阪間について、与党のプロジェクトチームは先月、京都府南部を通る「南回り」ルートに最終決定した。

2046年の開業に向け、現時点で決まっているのは京都府京田辺市北西端のニュータウン・松井山手付近に新駅を置くことくらい。
新駅をJR松井山手駅と直結するのか、離れた場所に建てるのかも今後に委ねられる。
そんな今だからこそ、住民らが約30年後のまちづくりに描く夢や理想を聞いた。あなたはどんな街を望みますか――。

買い物客や駅の利用客らが行き交うJR松井山手駅前。春休みで母親と歩いていた高校3年の女性(17)は「田舎でもなく都会でもない、
どこにでもありそうな街から変化するチャンス」と声を弾ませる。

「新駅ができる時は今の母親ぐらいの年齢。松井山手出身というだけでうらやましがられる街になってほしい」。
新駅建設に合わせて道が美しく整備され、開放的なカフェが似合う街並みを思い描く。

新駅はJR新大阪駅のように、在来線のターミナルとは別の場所に作られる可能性もある。
しかし、多くの住民が求めるのは、新幹線と在来線が乗り入れする府南部の交通拠点だ。

松井山手駅の近くで理容店を営む男性(49)は「新幹線が通っても素通りされては意味がない」と語る。
父が周囲にほとんど家屋がなかった1973年に開店。発展を願い、見守ってきただけに、宿泊施設や地下駐車場を備えた大きな駅ビルを中心とした街が理想だ。
「一晩でも泊まってくれたら、周辺に飲食店も集まって活気付くはず」と力を込めた。

JR片町線・松井山手以東の複線化を期待する声もある。鉄道と写真の愛好家で同市花住坂の男性(71)は「私たちの世代は新駅を見ることはできないかも知れない。
でも、その前に複線化して電車の本数が増えれば、もっと奈良に写真を撮りに行ける」。

観光地の期待も大きい。桜の名所・笠置寺(笠置町)の小林慶昭住職(54)は、境内に大型バスが乗り入れできる道を行政と協力して整備してきた。
松井山手からは車で約1時間の距離にあり、「駅からバスに乗り、新たな参拝客がきてくれるのでは」と期待する。

◆松井山手=京都府京田辺、八幡の両市にまたがる丘陵地を切り開き、1970年頃から開発された。JR片町線・松井山手駅は89年に完成。
住宅やマンションが立ち並び、幹線道路沿いには商業施設も多い。周辺は高速道路も整備されており、京都市や大阪方面への通勤・通学者も多い。(上野将平)

住宅地として開発が進められてきたJR松井山手駅周辺
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20170409/20170409-OYT1I50007-L.jpg

配信 2017年04月11日 08時07分

YOMIURI ONLINE ニュースサイトを読む
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170409-OYT1T50020.html