滞納した税金徴収のため差し押さえた財産を、国税当局がインターネット上で売りに出す「ネット公売」が、開始から丸10年となった。珍しい出品や高額落札が時に注目を集め、カスタムバイクなど22台を一斉に売却した先月は、通常より千人以上多い参加者を集めた。

 国税庁がネット公売を始めたのは2007年。民間のネットオークションサイトを使い、どこからでも参加可能で、競り売りのため落札額の上昇が期待できる。10年間で39回実施し、動産や不動産計3万3000点を処分。ただ、売却総額は48億円と、1年間の滞納額の1%に満たない。

 内訳は動産が2万8000点を占めるが、売却額では単価の高い不動産が31億円と上回った。

 今年5月の公売で、バイク22台は1台を除き落札され、見積金額より約800万円多い約1800万円が集まった。ほぼ全ての部品を特注品に交換した川崎重工業のZ1100GPは、見積もりの2.2倍となる約400万円の値が付いた。ネット公売の平均参加者1900人に対し、今回は3000人と注目の高さを示した。

 落札者が決まりやすい「売れ筋」は自動車で、16年には高級外車「ロールスロイスファントム」が見積額の倍の約2000万円に。動産の最高額は12年に売却された12.07カラットのダイヤモンドで、見積もりの3.15倍である9315万円だった。

 滞納額より高額で落札された場合はどうなるのか。同庁によると、滞納した地方税などに充当し、なお余剰が出れば滞納者に返還されるという。

 今後の課題として担当者が挙げるのは、知名度の向上。参加者が多いほど落札額の上昇が見込めるためだ。バイクの公売では、専門誌に広告を掲載する異例の取り組みを実施。今後も多くの人に周知する方法に知恵を絞るという。

2017/06/04-14:38
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017060400314&;g=soc