https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171208-00010000-doshin-soci

キャンセル料払わず

 道内の飲食店やホテルなどが、予約を受けたのに客が来ず、キャンセルの連絡もない「無断キャンセル」に頭を悩ませている。インターネットで手軽に予約できるようになり、客側の罪悪感が薄れていることが一因で、キャンセル料を踏み倒される例も相次ぐ。忘年会シーズンを迎え、飲食店は予約した相手への事前確認を徹底し、予約サイト運営会社は過去に無断キャンセルがあった利用者の新たな予約を制限するなどの対策を強化。専門家は「予約した時点で契約は成立しており、客は利用しなくても代金を請求される可能性がある」と警告する。

「忘年会シーズンは一番のかき入れ時だが、無断キャンセルが増えそうで不安」。札幌市北区の居酒屋「うおや一丁札幌駅店」の南清美店長(56)はこぼす。

 2年ほど前から無断キャンセルが目立ち始めたという。大半がネット予約の客で、現在はほぼ毎月、発生している。3月には1人3500円のコース料理を予約した10人が来店せず、日持ちしない食材を廃棄した。予約客に電話すると「予約していない」と言われ、キャンセル料はもらえなかった。南店長は「悪質なキャンセルでも泣き寝入りするしかない」と話す。

 無断キャンセルには、複数の店を予約しておき、当日になって行く店を決めるなどの悪質な例もあるという。全国の飲食店にネット予約の管理サービスを提供しているトレタ(東京)によると、2013〜17年の予約データ約2205万件のうち、キャンセルは約204万件。このうち無断キャンセルは約19万件でキャンセル全体のほぼ1割に上った。同社は「企業の飲み会が減り、キャンセル時のマナーを知らない人が増えた。また予約客が店と直接やりとりしないネット予約が普及し、店側の損害をイメージしにくくなったのでは」と推測する。

1日20万円損害も

 函館市内のホテルでは、外国人客が増加した5年ほど前から目立つようになった。担当者は「外国人団体客が来ず、1日で約20万円の損失が出たこともある」。旭川市内のホテルでは毎日のように無断キャンセルが発生し、支配人の男性(54)は「予約客が夜になって来なくても、連絡が付かなければ部屋を確保しておかなければならない」と頭を抱える。