https://mainichi.jp/articles/20180122/k00/00m/040/132000c
毎日新聞 2018年1月22日 07時00分(最終更新 1月22日 08時23分)

 省庁で利用が急増している公用電子メールについて、財務省は送受信から60日で自動廃棄していることを毎日新聞の取材に明らかにした。昨年5月に国会で野党議員から見直しを求められた後も、廃棄を続けていたことが判明した。国土交通省も送受信から1年でメールを自動廃棄する方針を決めているが、両省以外に同様のシステムを取り入れている省はなく、政府内でメールの管理方法にばらつきが出ている。【大場弘行、青島顕、川上晃弘】

 関係者によると、財務省ではサーバー内のメールデータが自動廃棄された時点で、職員は過去に送受信されたメールを見られなくなる。同省は60日で自動廃棄する理由について「サーバーの容量に限りがある」と説明。「必要なメールは公文書管理法などの規定にのっとり適切に保存している」としているが、自動廃棄を始めた時期など詳細は明らかにしていない。

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題が取り上げられた昨年5月の参院財政金融委員会で、財務省はメールを60日で自動廃棄していると説明。民進党の古賀之士議員は、政府系金融機関「商工中金」でもメールが自動廃棄され、不正融資の検証が困難になった例を挙げて見直しを求めた。財務省は6月に情報システムを全面更新したが、自動廃棄を見直したか、続行しているかは明らかにしていなかった。

 毎日新聞の情報公開請求に対し、財務省近畿財務局は19日に一部の内部文書を開示した。一方で、同財務局と財務省本省、国交省と同省大阪航空局は、学園への国有地売却交渉の経過が分かるメールは一通も存在しないか、保有を確認できないと回答している。

 財務省は国会で、必要なメールは印刷して紙で保存していると説明していたが、森友学園への国有地売却問題を調査した会計検査院は昨年まとめた報告書で、同省が保存していた文書だけでは「会計経理の妥当性が十分に検証できない」と指摘していた。

 取材に対し、国交、財務省以外の主要11府省庁はメールの自動廃棄は実施しておらず、予定もないと説明している。

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