ホンダは6日、小型ビジネスジェット「ホンダジェット」を日本で販売すると発表した。丸紅子会社を販売代理店に指定して2019年前半の納入を目指す。15年末に米国で販売を始めてから2年余りで世界主要地域での営業体制が整う。国内メーカー機の登場で、欧米と比べ規模が小さい日本でも、小型ジェット機市場への関心が高まりそうだ。

ホンダジェットの事業戦略について説明するホンダの八郷社長(6日午前、東京都港区)
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 ホンダは国内販売に向けて「丸紅エアロスペース」を販売代理店に指定した。同社が「ホンダジェットジャパン」の名称で、販売や整備などに取り組む。ホンダの八郷隆弘社長は同日、東京都内で開いた記者会見で「空に自由に移動できる航空機はホンダの夢だった」と語った。

 ホンダジェットは7人乗りの小型ビジネスジェット機。主翼の上にエンジンを配置し、客室が広いのが特徴だ。17年は世界で前年より20機多い43機を出荷し、パイロットも含めた乗員10人未満の「超小型」のジェット機として、米セスナの競合機を上回り世界最多となった。

 日本では燃料タンクを大きくして航続距離を伸ばした新型機「ホンダジェット エリート」を販売する。同機の航続距離は約2661キロメートルと、現行機より約17%(396キロメートル)長い。海外での販売価格は525万ドル(約5億8000万円)と、現行機(490万ドル)より若干高い。

 ホンダジェットは1986年に開発に着手。15年の発売から現在では北米や中南米、欧州、東南アジア、中国、インド、中東の各地域で販売されている。直近の世界運用機数は累計84機。一方、収益面では18年3月期で、416億円の営業赤字になっていた。

 ビジネスジェットは北米や欧州では主に都市間の移動に使われる。小回りの利く交通手段として富裕層や大企業が所有して利用するほか、「エアタクシー」と呼ばれる不定期航空サービスの運航会社に需要がある。

 日本での普及は遅れており、国土交通省によれば16年末時点で日本のビジネスジェットの保有機数は57台。最大市場である米国(約1万9千機)のほか、ドイツ(592機)、フランス(438機)を大きく下回る。国内空港で専用ターミナルを設けるなど、国交省が普及を図っている。

2018/6/6 10:23
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31423460W8A600C1MM0000/