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2018年7月3日 / 10:31 / 10時間前更新
焦点:荒れる日本株「閑散に売りなし」ならず、需給要因で大幅安
[東京 3日 ロイター] - 日本株の商いが細り、相場が荒れやすくなっている。貿易戦争への警戒感から投資家が取引を手控えているためだが、「閑散に売りなし」とはならず、需給要因による売りの影響が大きく出ている。幸いリスクオフの円高は進んでいないものの、突発的な株急落が引き続き警戒されている。

<需給要因(1)ETF分配金の捻出>

一時500円を超える下落となった2日の日経平均.N225。いろいろな要因が指摘されているが、まとまった売りになった可能性があるとみられているのが、ETF(上場投資信託)の分配金捻出に伴う先物売りだ。

投資信託の一種であるETFは、株式の配当金と同様、権利確定日にETFを保有していれば信託財産に生じた配当や受取利息などから生じた分配金を受け取ることができる。

ETFの担当者は、ETFを組成する各銘柄の配当権利落ちのタイミングで先物を買い建てて再投資を行う。その後、分配金を支払う際に、その先物を売却して現金化するとされる。

分配金の捻出は、ETFの決算日に合わせてキャッシュ化できるよう売却されるのが一般的だ。3月期決算が多い国内企業は、6月下旬ごろの株主総会で配当金額を決定することから、そのタイミングに合わせて7月が決算日のETFが多い。

東証上場の国内ETFの純資産残高は、5月末時点で33兆4467億円。2013年末の8兆1227億円に対し4倍以上だ。最近は日銀が年6兆円ペースで買い続けているため、市場規模は加速して大きくなっている。

市場筋の試算では、決算日が集中する7月8日までに約1600億円、10日までに約2030億円、合計で4000億円規模の先物売りが出る可能性がある。「決算日までにキャッシュ化していればいいので、2日の先物売りは分配金捻出のためだった可能性がある。しばらくは警戒が必要だ」(外資系証券トレーダー)という。

2日の日経225先物手口で、野村証券が売り越し額トップ(2091億円)になったことも、こうした思惑を呼んだ。野村や大和証券は、国内上場のETFを多く扱っている。

<需給要因(2)日銀のETF買い>

もうひとつ、2日の日本株の下げが大きくなった理由として挙げられているのが、日銀のETF買いが入らなかったことだ。

日銀はETF買いを入れる基準を明らかにしていないが、TOPIX.TOPXの前場終値が前日比で一定以上のマイナスになった場合を目安にしている市場関係者は多い。

2日のTOPIXの前場終値は0.29%のマイナス。5月28日前場に0.20%のマイナスだった際、日銀は720億円のETF買いを入れていたことから、後場が始まる段階ではETF買いの期待感が高まっていた。

しかし、結果は見送り。日銀がETF買いを入れたかどうかは、午後6時前後の日銀のデータ公表までわからないが、市場はクロス取引などから有無を推測する。「買いが入らなかったとの見方が午後中盤に広がり、失望から売りが加速した」(別の外資系証券、株式担当者)という。

日銀は6月、ETF(「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を対象とするETFを除く)を7030億円買い入れた。年間6兆円のペースは単純計算で1カ月あたり5000億円。7月はペースダウンすると市場がみれば、下げが加速しやすい地合いになるかもしれない。

<需給要因(3)貿易戦争懸念で動けない投資家>

もっとも、こうした需給要因が相場に色濃く反映されてしまうのは、商いが薄くなっているためだ。本来なら日々の取引に吸収されてしまう需給要因が、薄商いのために目立ってしまっている。
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