世界各地で人気の寿司だが、アメリカのロサンゼルスで問題になっているのが、寿司ネタとなる魚の誤表示だ。そこでUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究者と科学者たちが、誤表示を減らすために立ち上がった。

■47%の寿司が誤表示だった

UCLAで博士号を取得し、現在はロヨラメリーマウント大学で生物学助教授を務めるウィレット氏たちの報告によると、2012年から2015年の間、ロサンゼルス内の寿司レストラン26ヶ所で注文した寿司ネタのうち、実に47%が実際の魚とは異なるものだった。

そこで、UCLAの研究者や学生、さらに寿司レストラン関係者、政府関係者が参加して立ち上げられたのが「ロサンゼルス・シーフード・モニタリング・プロジェクト」。これは、ロサンゼルスの寿司店などでの、偽装ネタや誤表示を減らすために始まった取り組みだ。

彼らは2018年4月より、毎月10ヶ所の飲食店から寿司を購入。それを実験室に持ち帰り、魚のDNAを抽出して解析を行っている。DNA配列によって、それぞれの種類を特定することが可能で、店で表示されている魚と本当に合っているか確認することができるのだ。

飲食店における寿司ネタの誤表示は、故意に行っているケースは稀だそう。ただ誤表示を減らせば、偽装表示の問題にもっと焦点をあてて取り組むことが可能となるため、政府も一同にこのプロジェクトを進めている。

■LAで魚の誤表示が広がる理由は?

では、なぜ誤表示が拡大してしまうのだろうか。

その大きな原因となるのが、アメリカ食品医薬品局(FDA)で定める規制と、実物の魚とのズレ。例えば「イエローテイル」は6種類の魚が含まれるが、FDAではそのうち5種類は「イエローテイル」ではなく、「アンバージャック」と分類する。

日本では「イエローテイル」は、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、ハマチ、メジロに該当する、魚の成長と共に魚の名前もかわる「出世魚」だ。それぞれに名前も味わいも値段も異なのだが、アメリカでは5種類は「アンバージャック」とひと括りにされている。

同様に、アメリカで食べられる魚の多くが国外産のもので、そのため個々の種の特定を難しくさせているのだ。

■誤表示を減らすためにできることは?

この調査員たちは、飲食店が従うFDAのガイドラインに対しても、イエローテイルの表記方法を提案するなど、働きかけを行っている。ただ、このようなプロジェクトだけで誤表示を減らすことには限界があることも、指摘されている。

抜本的な解決を目指すためには、消費者がもっと魚の種類や産地に敏感になることも大切だ。消費者が寿司レストランやスーパーで魚を購入する際、「どこで採れたものか?」「何という魚か?」と、どんどん質問していけば、小売業者や仕入れ業者、さらに猟師にまで、魚の産地表示の重要性が浸透していくと考えられる。

寿司人気の拡大とは裏腹に、魚の詳しい種類について世界で正しく認識されるには、まだ少し時間が必要なようだ。

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