日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、証券取引等監視委員会は10日、ゴーン元会長と元代表取締役、グレッグ・ケリー容疑者(62)の2人と法人としての日産を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検に告発した。関係者の話で分かった。東京地検特捜部は同日中に2人と日産を起訴する見通し。

関係者によると監視委は、ゴーン元会長はケリー役員と共謀し、2011年3月期〜15年3月期の5年間にゴーン元会長の報酬計約50億円を記載せずに虚偽の有価証券報告書を提出した疑いがあるとして告発した。

監視委としても、ゴーン元会長らの刑事責任を問う必要があると判断したもようだ。

特捜部は10日、16年3月期〜18年3月期の3年間も報酬計約40億円を記載しなかった疑いがあるとして、ゴーン元会長ら2人を再逮捕する方針。

過去の虚偽記載事件は企業の財務や業績に関するものが多く、役員報酬の虚偽記載での告発は初という。

監視委幹部は「世界的に見ても、役員報酬は経営陣を監視・評価する重要な指標だ」と指摘。別の幹部も「今の投資家は財務諸表だけでなく多角的に企業を見て投資判断をしている。企業統治(ガバナンス)が機能しているかどうかも重要なポイントで、その指標となる役員報酬に虚偽の記載をするのは悪質だ」としている。

ソース/日本経済新聞社
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3873134010122018CC1000/