トキ「野生絶滅」から脱却 絶滅危惧種に見直し


 日本生まれの野生種が途絶え、中国産の成鳥を元に野生復帰事業を進めて
きたトキについて、環境省は24日、生息数が増えたとして、国内での評価を
「野生絶滅」から「絶滅危惧1A類」へと21年ぶりに見直した。
国内の絶滅危惧種を分類した「レッドリスト」の2019年版で再評価した。
日本の動物で野生絶滅から脱したのは初めてという。

 トキは明治時代以降、乱獲などで数が激減。1981年に最後に残った
新潟県・佐渡島の5羽を全て捕獲して人工繁殖に乗り出したが成功せず、
03年までに日本産のトキは全て死んだ。

 環境庁(当時)は飼育下のトキだけ生き残っていた98年に「野生絶滅」と宣言。
99年以降、中国のトキを日本で人工繁殖させ、08年からは佐渡島の野外へ放鳥。
12年には放鳥トキのつがいから初めてひなが生まれていた。

 環境省などは昨年までの10年間に計327羽のトキを放鳥。野外での繁殖も定着し、
現在は佐渡島に353羽が生息していると推測する。世界規模で絶滅危惧種を
評価する国際自然保護連合(IUCN)の基準に沿って5年間観察した結果、
「野外で持続的に生息している」と判断した。番匠克二・希少種保全推進室長は
「野生復帰が順調に進んだ成果だ」と話した。


毎日新聞【五十嵐和大】(2019年1月24日 18時02分、最終更新 1月24日 18時44分)
https://mainichi.jp/articles/20190124/k00/00m/040/162000c