公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、透析治療を中止、または最初から行わない「非導入」で死亡した計24人のうち、21人の同意書(意思確認書)がなかったことが都の検査で判明した。都は9日、患者の意思確認が不十分だったなどとして医療法に基づき松山健院長を文書で指導し、改善に向けた報告書の提出を求めた。

【昨年8月に亡くなった女性が夫に送った最後のメール】
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都は病院から提供を受けたカルテなどの関連資料を分析し、治療中止による死者4人、非導入による死者20人の事例を調べた。その結果、中止の1人、非導入の20人全員の同意書がなかった。非導入のうち3人には、同意したという記載がカルテになかった。

病院に対し、都は(1)患者に適切な説明をして理解を得る(2)カルテなどの診療記録を正確に保存する――を指導した。同意書の取得に法的義務はないが、医療と人権に詳しい冠木(かぶき)克彦弁護士は「死ぬことが分かっている医療行為では、同意書は絶対に必要。インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)になっておらず論外だ」と話す。

また、昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)については、中止の意思を撤回できる点を外科医が説明していなかったことが判明。亡くなる前日から何度も中止を撤回したいと女性が訴えたこともカルテに記載されていた。

一方、非導入の20人を巡り、病院は資料の一部を都に伏せていた。病院は当初「非導入は17人」と報告したが、都が確認したところ「立ち入り検査があった3月6日までではなく、(毎日新聞が報道した)2017年3月までの事例を提出していた」と釈明したという。【斎藤義彦、矢澤秀範、市川明代】

4/10(水) 8:34
毎日新聞
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