弥陀次郎川の堤防決壊、住民の控訴棄却 大阪高裁

 2012年8月の京都府南部豪雨で堤防が決壊した京都府宇治市の弥陀次郎(みだじろ)川流域の被災住民らが、決壊は河川管理の不備が原因として、府に約3千万円の損害賠償を求めた控訴審の判決で、大阪高裁(江口とし子裁判長)は17日、府による管理の瑕疵(かし)を認めなかった京都地裁一審判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。

 最大の争点となった堤防決壊のメカニズムについて、原告側は管理不足による護岸の劣化が原因とし、石積みの隙間から水が浸透して堤防の土砂が流れ出して決壊につながったと主張してきた。

 判決では、一審に続いて隙間の存在は一定認めたものの、「流木などでまず河床コンクリートのめくれが生じ、それにより護岸も破壊されて決壊した可能性は相当程度ある」「河床コンクリートが安全性を欠いていたと認められない」などとして管理の瑕疵や義務違反を否定し、原告の主張を退けた。

 府南部豪雨では府内6市4町で3千戸以上が浸水。弥陀次郎川周辺では、住宅8戸が全壊、300戸以上が床上・床下浸水した。控訴審の原告は6世帯9人(1法人含む)。

 自宅が床上浸水した原告の男性(75)=宇治市五ケ庄=は「これだけ被害があったのに誰も責任を取らなくていいのか。何を言っても無駄な問答のようだ」と判決を批判した。

 今後、原告はそれぞれ弁護士と相談し、上告の可否を検討するという。

https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190517000163
2019年05月17日 20時48分 京都新聞